日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。

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農中が抱える爆弾

 2025年3月期連結決算の最終(当期)損益が1.9兆円程度の巨額赤字に陥る見通しとなった農林中央金庫は、理事長の奥和登氏が退任し、4月1日付で常務の北林太郎氏が新理事長に就任した。

農林中央金庫の奥和登前理事長(左)と北林太郎理事長 ©時事通信社

 実は農林中金は「もう一つの損失処理問題」という爆弾を抱える。JA全中(山野徹会長)が開発した業務管理システムの、運用費用を巡る問題だ。

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 問題となっているのは、24年1月に運用を開始した「新コンパス-JAシステム」だ。JAの会計や人事給与、固定資産の管理などに用いるシステムだが、開発当初の見込みよりも大幅に運用費が嵩むことが判明。今年2月6日に一旦、JA全中はシステムの運用を停止する方針を決めた。山野会長は3月7日、「業務管理システムを停止することにより、25年度予算は約36億円の赤字で組む」と明かした。運用を継続すれば、数年間で180億〜220億円規模の追加費用が発生するという。

 システム開発には農林中金が深く関与している。

「金庫の有力OBやJA全中に出向している金庫職員が、全中職員と共に開発を手掛けているのです」(農林中金関係者)

 開発の中心は農林中金OBの山田秀顕氏だ。山田氏は農林中金でシステム企画部副部長、仙台支店長などを経て、15年に常務理事に昇格。「明るく、ざっくばらんな性格。システム部門の見識もあり、人望も厚い」(同前)。17年に退任し、その後、JA全中の常務理事に就いていた。《記事の続きでは、システムに関する今後の懸念を分析しています》

※本記事の全文(約4900字)は月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2025年5月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。

全文では下記の内容をお読みいただけます。
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