TBSラジオの番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(通称『タマフル』)』が今年の3月31日、11年の歴史に幕を下ろし、新番組『アフター6ジャンクション』が始まって早2カ月。ライムスター宇多丸、エッセイストでイラストレーターのしまおまほ、構成作家の古川耕による「『タマフル』鼎談」第2回の後編では、ラジオに出て変わったこと、新番組が始まる前の心境の変化について語る。(#2 前編からつづく)
◆ ◆ ◆
ラジオに出て変わったこと
古川 しまおさん、ラジオに出て変わったことってありますか? たとえばラジオの聴き方が変わった、とか。
しまお 聴き方は全然変わらないです。なんですかねぇ。いや、あんまり変わらないんじゃないかな。宇多丸さんは変わりました?
宇多丸 やっぱり勉強目線の聴き方になった感じはありますよね。特にやっぱり神田松之丞さんとか、しゃべり手としてうまいとされる人とか出てくると、一応聴くじゃないですか。そうすると、やっぱり面白いから。「あ、これ面白い。絶対この人面白い」って感じで。そうすると、「もう聴きたくない!」っていう。「クソ! 面白え! 聴きたくない!」っていう。
しまお 分かる。
古川 分かる?
しまお うん。つまんないといいなって思う。
宇多丸 どの目線?
しまお 例えばキョンキョンとかがさ……キョンキョンとかが文章を書いたりして、それをサラッと読むことがあったりすると、「つまんないといいな。これでうまいことされちゃうと……」って思っちゃう。
宇多丸 まあ、分かる気もします。
古川 臨戦態勢ですね。
しまお 私、努力しないのにライバル視したりするからいけないんですよ。
古川 すげえこと言ってるな。
宇多丸 でも、分かります。もちろん、もちろん。
古川 分かりますよ。みんなそうでしょう。
宇多丸 ほんとほんと。
しまお そうかな。
宇多丸 だから、「神田松之丞さん、ちくしょー!」って思うし。伊集院(光)さんとかになるとさすがにもうなんとも思わないけど。だから、やっぱり新しい人が番組始めて、それが「面白いです」なんて言われると、「ちくしょー!」って。
古川 まあ、人間誰しもあるでしょう、それは。
宇多丸 そんなの普通ですよ。普通普通。
しまお でも、ラジオに出てて、自分が変わったっていうわけじゃないけど、やっぱり聴いてくれてる人がいるのは励みになるっていうか。他の仕事も見てくれるようになるし。いつも出てるっていうのはすごい大事なんだなと思いますね。
宇多丸 ああ。ビックリするぐらいいろんなところで聴いてくれてますよね。
古川 確かに。
宇多丸 それこそ「宇多丸さんきっかけで映画を見るようになりました」みたいなこと言われたりとか。
しまお 私も、「まほ」っていう名前を子どもにつけたって言われて、すごい責任感じました。
古川 え~!
宇多丸 オレも実はその手の話ある。
古川 すごいですよねぇ……。びっくりするぐらいいろんな人が聴いてくれているし、覚えてもらってるし。
宇多丸 『ウィークエンド・シャッフル』最終回の「ベストモーメント」、楽しみなんですけどね。この間チラッとメール見たら、全然覚えてない場面なんだけど、でも、僕が言ったこととか「あ、面白いこと言うな」「うまいこと言うな」って思っちゃったし。こっちは全然覚えてないんだけど。
しまお 楽しみですね。でも、なんかサラッと終わっちゃいそうな気もして寂しい。
宇多丸 2時間なんかあっという間ですからね。
しまお ねえ。
宇多丸 やっぱり今週*の映画評やめようか?(*最終回の3月31日放送)
古川 やったほうがいいでしょう。『リメンバー・ミー』が最後なんてなかなかいいじゃないですか。
宇多丸 そんなに言うことないですよ。