「この人は認知症だから大丈夫」

「夜勤をしていたとき、夜中に入居者さんが部屋の外を歩いていて、怪我をしたことがありました。私たちが目を離した隙に、エレベーターホールで転倒して、腕が変な方向に曲がってしまったんです」

写真はイメージ ©getty

 慌てた上田さんは、「すぐ救急車を呼びましょう」と古株の女性介護士に言ったが、それを拒まれたというのだ。そして上田さんに、こう言い放った。

「この人は認知症だから大丈夫」

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 本人は怪我をした状況も忘れるだろうから、室内で勝手に転倒していたことにすればいいと説明。翌朝、転倒した入居者の腕は、パンパンに腫れあがっている。結局、病院へ連れて行くと骨折をしていた。

「ちょうどコロナ禍で面会の制限をしていたので、家族の目もありません。それをいいことに、夜中に部屋で転び、自分でベッドに戻ったみたいだと嘘の報告をして、事情を知る他の職員も、みんな知らないふりをしていました」

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