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「例えば入浴介助の際、認知症の方やクレームを言えないような方に、1枚のタオルを3人で使い回していたんです。あとの方は濡れたタオルで身体を拭かれるので、冷たがっていました。バスマットが濡れていても交換する回数を減らしていました」
経営側の事情で「虐待」が深刻化するケースも
虐待は暴力などの身体的なものだけでなく、心理的、経済的なものまで広く含まれる。また虐待の程度もさまざまだ。上田さんが目撃したタオルの使い回しも明らかな虐待といえる。
「施設の総責任者がたびたび現場を見回って、無駄がないかチェックしています。おむつパッドを使い過ぎだとか何か気に食わないことがあると、職員を怒鳴り散らし、『明日から、もう来なくていいから』と脅す。タオルの使い回しも、こうした経営側の過剰な経費削減が原因で行われている。そうなると、スタッフも次第に感覚が麻痺していくんです。虐待していることに気付かなくなっていく」(上田さん)
