ラジオとテレビの共存共栄が理想
なぜ、亀渕氏は「資本の論理」からすれば、当然にも見える子会社化を頑なに受け容れなかったのか。
亀渕氏はその理由を次のように回想している。
「鹿内春雄さんが提示していた“ラジオとテレビが共存共栄するメディア像”に惹かれていました。サラリーマン社長ながらメディアに関わる者として、業績云々ではなく互いが放送媒体として並行する在り方が理想だと思っていたんです。それは世間への影響力はテレビが大きい、商売もデカい。けれどラジオというものは細々としているようでオールナイトニッポンみたいにブームの火付け役になる力があったり、阪神淡路大震災の時もそうでしたが、災害時の緊急放送でリスナーに頼られる存在なんです。だから『資本のねじれを解消するのは同意するけど、だったらうまい関係を再構築したいよね』と望んでいました」
しかし、この思いは遂げられず、結局、亀渕氏は苦渋の末、フジテレビによるニッポン放送子会社化を受け入れる――。だが、TOBが始まって3週間後、ホリエモンが突如現れた。
愛する会社が次から次へと危機に襲われる。そのとき、亀渕氏は何を守ろうとしたのか? 日記はそのことを浮かび上がらせる。
日記は、短期集中連載で6月号から3号続けて「文藝春秋」、および「文藝春秋PLUS」に掲載される予定だ。

出典元

【文藝春秋 目次】緊急特集 黒船トランプ迎撃作戦 トランプ危機をチャンスに変えろ/スペシャル企画 東京はすごいぞ/梯久美子 やなせ先生と「あんぱん」と私
2025年6月号
2025年5月10日 発売
1300円(税込)