口外しないように釘を刺される

 翌日、主任外科医が「昨日はいつも通りの日だったよな?」とトフティに語りかけてきた。

 主任は臓器摘出を口外しないように釘を刺してきたのだ。「はい」とトフティは答えるしかなかった。

 のちにトフティはイギリスに亡命する。が、まだ生存していた死刑囚から臓器を取り出した事実を語るのには、15年という歳月が必要だった。

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 トフティが亡命したのは、この摘出手術が理由ではない。新疆ウイグル自治区は中国の実験場ともいわれ、核実験なども度々行われた。その周辺地区でがん患者が多発している事実を西側に流したことで、身の危険を感じたからだ。

「西側の価値観を知り、事実を明かさなければいけないと考えるようになりました」

次の記事に続く 「人を意図的に脳死させる『脳死マシーン』を開発した」数千万円の金が飛び交う“臓器売買”で行われている“まさかのやり口”とは