仲介役をする医師が“謝礼を要求”

 難病患者支援の会の評判を聞いた医師から、中国での移植を望む患者が紹介されてくるようになった。そうした患者を中国に送ったケースがいくつもある。移植に成功してレシピエントが日本に戻ると、医師から連絡が入った。

「一部の医師は、患者紹介の謝礼を私に要求してきました」

 難病患者支援の会は東京国税局の税務調査を受けている。設立から2009年までの2年間に、海外での臓器移植の斡旋で受け取った金など総額約6000万円の所得隠しを指摘され、修正申告をしている。

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写真はイメージです ©beauty_boxイメージマート

 菊池はこれらの金の使途について、渡航移植患者を紹介してくれた医師への謝礼だったと認めている。

 中国への渡航移植は、斡旋組織と患者といった単純な構図ではなく、そこに、日本の泌尿器科医、透析医が仲介役を果たしてきたという現実も見過ごすことはできない。

 患者を難病患者支援の会に取り次いだ医師は、患者の詳細な治療歴、症状、移植に必要なデータを記載した紹介状を、渡航先の病院、医師宛に作成する。紹介状の費用だけではなく、手術に成功すれば患者から日本側の医師に対して、当然のように「謝礼」が支払われてきた。つまり1件の移植手術について、数千万円の金が患者、斡旋組織、医療関係者の間で飛び交う極めて胡散臭い世界なのだ。

 現在はインターネットの普及もあり、患者個人が斡旋組織と直接、接触するケースが増えてきた。また2008年のイスタンブール宣言以降は、医師側も斡旋組織への患者紹介を控えるようになった。