「娘の人生を奪い、私たちを3週間騙していたことは許せない。極刑にしてください」
浮気性のおさまらない元妻(当時21)を殺害した元夫(30)は、その後どうなったのか? 2007年に起きた事件のその後をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
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元妻を殺害後、男は…
友美さんの家出を装うために部屋から携帯電話、現金、バッグ、靴、母子手帳などを持ち出した。
その上で実姉に友美さんの風俗勤務を、彼女の両親に暴露してくれるように依頼。事情を知らなかった実姉は「友美さんも風俗嬢だったのに、なぜ弟が離婚後の家賃まで支払わされるのか」などと電話した。
その後、絶妙なタイミングで友美さんの携帯を使い、〈風俗で働いていてごめんなさい。もう顔を合わせられない〉などと両親にメール。さらに自分の携帯にも〈両親に言ったんでしょ。死ね!〉などと風俗勤めを暴露したことを激怒するかのようなメールを送り、それを両親に見せることで自分の犯行を隠蔽していた。
井上はリネン袋に詰めた友美さんの遺体を港湾の防波堤に運び、ダンベル2個をくくりつけて海中に投棄した。友美さんの両親とはその後も連絡を取り合い、心当たりのある場所を一緒に探すなど、何食わぬ顔で“遺族”を装っていた。
それから3週間後、袋詰めされた妊婦の遺体が発見されたというニュースを見ると、前妻と子供たちが住む街にレンタカーで逃亡。前妻に犯行を告白し、出頭を勧められた。警察署に向かう途中、知人のヘルス嬢に会い、食事とカラオケに行き、それから警察署に出頭した。友美さんの両親は井上が逮捕されても、「何かの間違いじゃないか」と信じないほどだった。
