「妹は殺され、母は大ケガをさせられた。妹は誰にでも好かれる優しい性格だった。『殺すつもりがなかった』とは絶対に言わせない。死刑にしてほしい」
犯人と関わりのある関係者からは「死刑」を望む声も…。2012年のストーカーと化した客が、店のママを焼死させた「スナック放火事件」。事件後に捕まった犯人はどうなったのか? なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
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スナックを放火、ママが焼死
事件当日、鈴村は灯油とガソリンを混ぜ合わせた混合液体を20リットル用意し、スナックへ向かった。確実に逃げ場を失わせるため、まず店の周囲の外壁に混合液体をまいた。
そのとき、店内には愛美さんと母親、常連客の男女2人がいた。そこへいきなり鈴村が入ってきて、ふたの開いたポリタンクをカウンターの上で横に倒した。トクトクと流れる混合液体にライターで火をつけるまでわずか7秒だった。
『ボーン!』
物凄い爆発音がして、店内に火柱が上がった。鈴村も吹っ飛ばされ、顔面に大火傷を負った。
「キャーッ!」
店内は阿鼻叫喚となり、ドアの近くにいた母親と鈴村だけが外へ脱出した。愛美さんと客の2人は奥のトイレに逃げるしかなくなり、まもなく店内を一酸化炭素の黒煙が覆い尽くした。
「火事だァー!」
周囲もすぐに異変に気付き、複数の人間が119番通報。まもなく消防車が駆け付けたが、トイレの窓には格子が付けられており、そこから救出されたのは女性客1人だけだった。
愛美さんと男性客は店内に取り残され、鎮火してから助け出されたが、いずれも意識不明の重体。男性客は一命を取り留めたものの、愛美さんは搬送先の病院で死亡が確認された。