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「あんなに燃えるとは思いませんでした」
一方、鈴村は現場から車で逃げ出し、愛美さんと二股で付き合っていた女性に連絡を取り、別れた妻子のいる地元まで車を走らせた。
「何があったんよ。すごい火傷やないの……」
「もうええんや。みんな燃やしたったんや……」
鈴村は警察に捕まることを覚悟していたが、「最後に子どもの顔が見たい」と願っていた。だが、鏡に映った自分の姿を見て、「こんな火傷した顔ではとても会いに行けない」と悟り、自ら警察に電話した。
「スナックに火をつけた鈴村です。これから地元の警察署に出頭します」
鈴村は逮捕と同時に入院することになり、全治1カ月の重傷と診断された。事件については一切言い逃れもできず、鈴村は現住建造物等放火と殺人、殺人未遂の罪で起訴された。
鈴村は初公判の罪状認否で泣きながら次のように述べた。
「うう……、私が火をつけたために店が燃えたのも間違いありません。その行為により、愛美さんが亡くなったことも間違いありません。3人の方がケガをされたことも間違いありません。でも、あそこまで爆発するものとは思っておりませんでした。あんなに燃えるとは……、愛美さんが亡くなるとは……、うう……、本当に申し訳ありませんでした。殺すつもりはありませんでした。愛美さんには恨みも殺意もない。自分は『殺すぞ』が口癖で、本当に殺すつもりはなかった。ちょっと脅すつもりで、カウンターに混合液体をまいたが、あんなに燃え広がるなんて予想もしていませんでした」
だが、愛美さんの兄の怒りはすさまじかった。