「鈴村は愛美に対して、『お前を殺す』とか『息子を殺す』とかいうメールをしょっちゅう送ってきたが、よう殺すかいなと言って励ましていた。母と自分の彼女がお金を返しに行ったとき、母がかなりきついことを言ったと聞いている。それで母に相当恨みを持っていたのだろう。あのとき、何で自分に言ってくれなかったのか。自分が行っていたら、状況が変わっていたかもしれない。こんなことになって悔しくてならない。

 妹は殺され、母は大ケガをさせられた。妹は誰にでも好かれる優しい性格だった。『脅すつもりで、殺すつもりはなかった』なんて、絶対ウソだ。殺すつもりがなかったとは絶対に言わせない。死刑にしてほしい」

「8歳で両親がいないのは僕ぐらいかなァ」

 そして母親は、孫であり、愛美さんが遺した小2の息子(事件当時は小1)について語った。

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「事件後はマスコミを避けて知り合いの家にいたのですが、孫がテレビを見て『安井愛美って書いてあるで。ちゃーちゃん死んじゃったんや』と気付き、それからずっと落ち込んでいます。

 お通夜には行けなかったんですが、葬式には出て、『僕は息子なんだから、ちゃーちゃんの最後は僕が見る』と言って、ずっと遺影に頭を下げていた。墓の前でも『おじいちゃん、おばあちゃん、今日からちゃーちゃんがそっちに行きます』と報告していました。毎朝毎晩手を合わし、お供えすることを欠かさない。『おばあちゃんだけでも元気でよかった。僕が大きくなるまで長生きしてよ』と言っている。本当にしっかりしている。学校も休まず通っている。

 でも、『8歳で両親がいないのは僕ぐらいかなァ』とも言っていて、保健の先生と話したときは、思い出してボロボロ泣いていた。まわりのことを考えて元気を装っているのだと思う。愛美が亡くなってから笑い声もなくなった。愛美は鈴村と付き合う前はよく孫を連れて公園や海などに行っていた。事件の3日前に鈴村と別れて、『これで気兼ねなく息子を雪山に連れて行くことができる』と喜んでいた。できることなら鈴村には死んでほしい。愛美は逃げ場のないトイレで亡くなった。孫も『大きくなったら僕が犯人を殺してやりたい』と言っている。鈴村には死刑を求めます」