ドラマが見せる「令和の夫たち」のバリエーション

だが「死んでくれ」とまでギッタギタに切り刻まずとも、TBSもまた、夫婦のあり方や役割分担に深く言及するドラマを好調に放映中だ。専業主婦・詩穂(多部未華子)と働くママ・礼子(江口のりこ)、育休中のエリート官僚パパ中谷(ディーン・フジオカ)の「対岸にいる3人」が、家事・子育てと仕事をめぐり、それぞれの立場で格闘するストーリーである。

大きくジャンルを括るならば「仕事と家事・育児の両立」。この二軸をテーマにしたコンテンツは、ドラマにせよ小説やコミックスにせよ、特に2000年代以降何度も制作されてきた。いまだに40〜50代のワーキングウーマンがシェリル・サンドバーグの『リーン・イン』を引っ張り出して「働く母親は、家庭と仕事の間で常に引き裂かれている感覚を持ち、どちらも十分にできていないという罪悪感に苦しんでいる」と自分たちのしんどいキャリア人生を振り返るが、女性の社会的活躍が進む陰には、常に「子育ては誰がどれくらいやるのか」「家事は誰がどれくらい担うのか」という恨み言に近い議論が繰り返されてきた。

正直、これまで20年以上、子育てや女性の生き方をテーマとした文章を書いてきた私としては、「まだ日本はこのテーマを擦らねばならないのか」と、当初小さくため息をついた。2020年代の日本でまだこのようなテーマがドラマになること自体、日本の女性が背負わねばならない「期待」や社会的プレッシャー(いわゆる無理ゲー問題)がまだまだ大きすぎて、おそらくそれが一人ひとりの普通の女性たちのキャパシティを超えていることの表れなのだろうと思う。

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変化しない社会的期待値と実態のギャップ! 女性は上の世代や男性が求める「完璧な母親」神話から解放されるべき! 専業主婦と働く母とで女性内部の分断を起こさず、昭和から令和まで異なる課題を経験した各世代の女性同士がお互いを理解し支援する必要! これは「個人の努力」から「社会構造の変革」へ繋いでいかなきゃ! けれどなかなか社会構造(男性社会!)が変わんなくてヘトヘト!