なぜ小中高生の自殺者が増えているのか
警察庁の統計によると、日本では、1998年から2011年までは、全年代の年間自殺者の総数が3万人を超えていた。自殺対策基本法ができた2006年以降は、中高年の男性を中心に自殺者数が減っていく。しかし、児童生徒の自殺者数は減少せず、むしろ、増加傾向に転じた。児童生徒の自殺者数は2011年が多く、353人だった。2012年からは全年代を合わせて3万人を割ったが、児童生徒の場合は増加傾向に変化はない。
2016年には自殺対策基本法が改正され、学校現場に対して、「SOSの出し方に関する教育」が推進されていく。また、希死念慮を持つ男女が殺害された座間男女9人殺害事件が起きた2017年以降、厚生労働省は、SNSによる自殺相談を充実させた。しかし、小中高生の自殺者数を見ると、2016年以降、それまでの増加傾向を抑えることができず、警察庁統計で、2020年に初めて400人を超え、2022年以降は3年連続で500人を超えた。
理由は何だったのか。前述の文科省が発表する問題行動調査には、「自殺した児童生徒が置かれていた状況」という調査項目がある。選択肢には「家庭不和」「学業等不振」「いじめの問題」などがあるが、半数ほどが「不明」で、2023年度は、その割合が46.9%になった。中でも、小学生は63.6%だ。学校側は、児童生徒がなぜ自殺したのかを把握できないでいる。把握しない・したくないという心情も見え隠れする。
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【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】
▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)