コンクラーベが現実となり記録更新
直前の米アカデミー賞の主要部門で受賞した『ANORAアノーラ』や『エミリア・ペレス』に比べ、分かりやすく知的好奇心に訴えることができたのかもしれない。
というのも、現実のバチカンではフランシスコ教皇が2月から3月にかけ入院。日本でも広く報道され、88歳という高齢もあって、コンクラーベが行われる事態になる可能性が指摘されつつあった。偶然とはいえ、なんというタイミングだろうか。
そして、日本でも『教皇選挙』がヒットを続けていた中の4月21日、フランシスコ教皇は逝去。コンクラーベが現実のものとなったのだ。
「それまでは映画紹介という枠の中でメディアに紹介いただくことが多かったのですが、4月21日以降は報道番組や新聞の社会面で大きく取り上げられるようになりました。コンクラーベの紹介とともに映画の場面がテレビで流れたり、上映中の劇場で『教皇選挙』を観に来られたお客様にインタビューする番組なども出てきました」(同前)
報道番組やワイドショーでもコンクラーベの様子は盛んに取り上げられた。こうして映画の情報はより幅広く、映画ファンの枠を越えた層にリーチしたのだろう、5月9日~11日の週末には、なんとあのスタートダッシュの初週末の興収に比して115%という数字を記録した。初週からどんどん興収が下がっていくのが常識の業界にあって、公開から2カ月近く経っての記録更新はまさに異例だった。
観れば読みたくなるパンフレットの売れ行きも好調、映画に登場するイケオジたちのサイドストーリーを紡ぐ二次創作に勤しむファンも。鑑賞後には誰かと話したくなる映画だが、映画の枢機卿たちと同様、なるべく情報を遮断して楽しんでいただきたい。
『教皇選挙』
監督:エドワード・ベルガー/原作:ロバート・ハリス著「CONCLAVE」/出演:レイフ・ファインズ、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、イザベラ・ロッセリーニ/2024年/アメリカ・イギリス/原題:CONCLAVE/配給:キノフィルムズ/© 2024 Conclave Distribution, LLC./大ヒット公開中
