2006年FIFAワールドカップドイツ大会、試合終了を告げるホイッスルが鳴った時、ピッチに仰向けに倒れこんだ中田英寿は、そこからしばらく動こうとはしなかった……。それから12年後の2018年ロシア大会、怒りと悲しみとショックで「終わった」と倒れ込んだ女性がいる。その人の名は……小柳ルミ子。
「無類のサッカー好き」という新キャラ
小柳ルミ子といえば、大澄賢也とのパフォーマンス婚姻生活と『われめDEポン』でタバコをふかしながら血のような色のネイルで麻雀打ってるイメージしかなかったところに、突如飛び込んできた「無類のサッカー好き」という新キャラクター。とりあえず「昼間の屋外」と「小柳ルミ子」に一切の関連性を見いだせなかった世間は色めきだちました。想像してください。太陽と小柳ルミ子。芝生と小柳ルミ子。ボールと小柳ルミ子。オーレオレオレ小柳ルミ子。まだ「農作業する小柳ルミ子」とか「スーパーで半額シールが貼られるのを待つ小柳ルミ子」とかのほうがなんとなく像を結ぶ。そのくらいのミスマッチ。
とはいえ、古よりサッカー好き芸能人はたくさんおりまして、それを仕事にしている人もたくさんおりまして、特段珍しいわけではありません。しかし「サッカー好き“女性”芸能人」というと、W杯時に日本代表ユニフォームを着てフェイスペインティングを施し「頑張れニッポン!」と壊れかけのレイディオのように連呼するタイプしか思い浮かばない。そこは昭和の芸能界という、魑魅魍魎死屍累々の地獄を生き抜いてきたルミ子です。小学校の球技大会じゃあるまいし、そんな「ボールがあるところにとりあえず走っていく」ような戦い方をするはずはない。
「ボールを持ってないときの動きこそ重要なんです」
「サッカーではオフ・ザ・ボール、ボールを持ってないときの動きこそ重要なんです。ボールを持ったときだけ仕事をしてもダメ。それは私たちの仕事でいえば、現場で仕事をしていないときこそ大事だということです」
「歌詞やセリフを覚えたりと、しっかりした準備があってこそ本番で生きるんです。当然、信頼されなければボールは回ってきませんし、仕事のできる人にパスは集中します。人を使って使われ、いかにチームのために走れるか。これって、仕事や社会と一緒ですよね」(週刊FLASH 2018年6月12日号より)
芸能界におけるサッカー戦略も、この「オフ・ザ・ボール」の動きにあると読んだ(※推測)ルミ子。まず目を向けたのは、サッカーはサッカーでも海外サッカー。私なんぞはよく知らんのですが、サッカー通を唸らせる要件としてあるらしいんですよ、「海外サッカーを知ってる」というのが。さらに「年間2000試合観てる」この数字。サッカー通を唸らせる要件としてあるらしいんですよ、「試合たくさん観てる」というのが。そんなこんなでルミ子は一気にサッカー通の間で「この人はただもんじゃない」という評価を得、メディアも「サッカーと小柳ルミ子の食い合わせ面白い」「しかも色々知ってるらしい」と即座に乗っかり、見事にW杯関連番組及びイベントひっぱりだこという「ボール」が回ってきたのです。