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W杯で炎上も 小柳ルミ子さんの「芸能界におけるサッカー戦略」がすごい

W杯で炎上も 小柳ルミ子さんの「芸能界におけるサッカー戦略」がすごい

2018/06/27
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ルミ子が得意な「空いたスペースへの飛び出し」

 意外と知られておりませんが、ルミ子は宝塚音楽学校の出身です。しかも首席で卒業。実はエリートなんです。しかしルミ子はタカラジェンヌになりたかったわけではなく「歌手になるための勉強として」宝塚に入学したと今ウィキペディアを見たら書いてありました。宝塚は初舞台だけ踏み2カ月で退団、その年にNHK連続テレビ小説『虹』で女優デビュー。しかしルミ子は女優になりたかったわけではなく「歌手デビューのための宣伝として」ドラマ出演したとこれまたウィキペディアに書いてありました。やっぱりこの方は芸能界そのものを「オフ・ザ・ボール」で生きてきた人なんですよね。まさに戦略家。だってデビュー曲、『私の城下町』ですよ。私の城下町。城下町を勝手に自分のものにしちゃってるんですよ。もうそういう星の下に生まれてる女性なんですよ。

 オフ・ザ・ボールのときにしっかりと戦略を練り、さらにルミ子が得意なのは「空いたスペースへの飛び出し」です。清楚系の歌にかげりが見えてくるやいなや『お久しぶりね』的なスナック系妖艶ソング界に飛び出して完全に天地真理を出し抜き、きわめつけは当時無名のダンサーだった大澄賢也との13歳年の差婚。青年実業家やら大物俳優やら「カネ」と「名誉」がトッピングされた相手との結婚こそが勝ちとされてきた中で、「結婚生活そのものをパフォーマンスにする」という、今でいうリアリティショーみたいなことをやりまくってたわけです。このルミ子の飛び出しがなければ、後の松野明美や磯野貴理子や沢田亜矢子はいなかったと言っても過言ではない。過言かもしれません。

2000年、大澄賢也との離婚を発表するルミ子 ©文藝春秋

大事なW杯でルミ子、痛恨のミス

 それでももう、ルミ子も芸能生活40年あまり。もういいよ、もう空いたスペース飛び出さなくてもええやろと思いますが、私が察するに小林幸子のアレ、「ラスボス戦略」がルミ子に火をつけ、彼女を再びピッチに呼び戻してしまったのではないでしょうか。しかしルミ子は……ラスボスにはなれなかった。大事なW杯で大きなミスを犯してしまったのです。いやミスというか、ルミ子の性と申しますか。冒頭に書いた「終わった」発言、あれは6月21日の「クロアチア×アルゼンチン」戦の後に書かれたルミ子のブログからの引用ですが、あれがサッカー通の間で燃えに燃えてしまいました。あの日のGKカバジェロのミスをこてんぱんにこき下ろし、「今大会のワールドカップは終わった」とまで書いてしまったルミ子。そう、ルミ子はアルゼンチン代表のメッシが大好き。メッシを負けさせたカバジェロ許すまじ!!

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ルミ子が大好きなアルゼンチン代表のメッシ ©JMPA

 GL敗退になったらもうメッシが見れない!!とブログで荒れ狂うルミ子。どうやらサッカー通に蔑まれる要件としてあるらしいんですよ、「特定の選手に異常に入れ込む」というのが。「単なるメッシ大好きおばさんやないけ!!」と、一周まわって気づいたサッカー通。いや最初からそうでしょうが……とも思いますが、でもこんなところもかつて大澄賢也に入れ込み過ぎて我を忘れた伝説の「その質問きこえませ~ん」記者会見と重なり「……ルミ子なんら変わっちゃいねえ」と思うわけです。

 と、ルミ子の現在の心境を慮って少しセンチメンタルな気分になりましたが、最新のブログ「泣きそうです!!」を見たら現地ロシアで取材パスをつけたルミ子が「アルゼンチーナサポーターの心は一つ!!」としっかりお仕事なさっていて、ああ私がバカだったなと思いました。

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