日本の労働人口の半数近くを占める40代・50代のミドル世代。定年後を見据える世代だが、今は少子高齢化や人手不足を背景に、企業は豊富な経験やスキルを持つミドル世代の求人を増やしている。実際、『リクルートエージェント』の転職者データでも、この世代の転職は10年前に比べ約6倍に増加しているのだ。

 雇用の流動性の高まりに加え、政府が個人へのリスキリング支援を強化したことも相まって、注目が集まっているのが「学びなおし」や「リスキリング」だ。

役に立たない“落とし穴”資格とは?

 40代・50代のビジネスパーソンの中には資格を取得し、キャリアアップにつなげたいと考えている人も多くいるだろう。しかし、何となく資格を選ぶのは禁物だ。ミドル世代は、自分に合った資格を選ばないと、昇進にもつながらず、転職、独立でも効果を発揮できない。費やした時間は戻ってこず、せっかく資格を取得したとしても後戻りできない“致命傷”となりかねないのだ。

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 では、ミドル世代が役に立たない“落とし穴”資格にハマらないためにはどうすればいいのか。「資格ソムリエ」として知られる林雄次氏に40代・50代のビジネスパーソンが注意すべき「とっても昇進や転職に役立たない資格」を聞いた。

 林氏は580の資格を持つ“資格取得と活用のプロ”だ。保有資格の中には行政書士や宅地建物取引士などの士業も多い。その中のひとつである社会保険労務士の資格を活かし、 IT関連企業で1000社以上の中小企業の業務改善に従事してきた。その林氏に多くの人が取得を目指す“落とし穴”資格を10位までのランキング形式で挙げてもらった。本記事では9位にランクインしたキャリアコンサルタントのパートを抜粋して紹介する。

9位 キャリアコンサルタント

 9位は「キャリアコンサルタント」(以下、キャリコン)。宅建士同様こちらも国家資格で、キャリア形成や能力開発に関する助言や指導を行うものだ。受験のためには、厚生労働大臣が認定した養成課程の講習を150時間以上受けるか、3年以上の実務経験が必要。試験には実技もある。

実は国家資格(厚生労働省HPより)

 国家資格となったのは2016年。政府も2024年度末までにキャリコン10万人を養成する計画を掲げ、教育訓練給付金での利用で講習費用の最大8割が戻るなど国が後押ししてきた資格だ。しかし、実際の数は79,561名(2025年3月末現在)。一体、何が起きているのか。同資格を持つ林氏が語る。

「キャリアコンサルタントの認知や活動の場の広がりが十分でなく、彼らを生かし切れる土壌になっていないのです。ハローワークや大学、企業でキャリコンを置いていますが、非正規雇用が多い。十分お金に結びつけられている人をあまり聞きません」

 ではトップ10入りした他の9つの資格とは? そして1位の資格とは何だったのか。

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