近年、注目を集める「女性用風俗」。サービスを運営する女性用風俗『SPA White』オーナーのあす香さんによると、若い女性だけじゃなく、60~80代と高齢の女性の依頼まできているという。いったい何が彼女たちの心をつかむのか? その奥深さを、あす香さんと女性用風俗をテーマにした漫画『僕は春をひさぐ』の作者である水谷緑さんの対談よりお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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夫のことは好き、それでも「女性用風俗」に訪れる女性も…
――水谷先生が、あす香さんと出会ったきっかけを教えてください。
水谷緑(以下、水谷) あす香さんが女性用風俗「SPA White」の経営者としてメディアに出演されていたのを見て、ご連絡したんです。何回か取材させていただいたあと、「男性セラピストの研修の様子を見学させてください」とお願いしたら快諾してくださいました。
部屋には骨格標本の模型が置いてあり、あす香さんの指導のもと、新人の男性セラピスト同士がマッサージし合う様子に最初は衝撃を受けました。
あす香 「私が作る店なのだから、私が教えないといけない」と思ってやっています。お店を立ち上げる前は女性に性感の施術をした経験がなかったので、施術しながら多くのことを学ばせていただきました。現在は都内を中心に、大阪、名古屋、福岡にもセラピストが在籍しています。病気や他のトラブルを防ぐために「粘膜接触禁止」にしており、キスやオーラルサービスは無し、セラピストはパンツを脱がないルールです。
――女性用風俗が漫画の題材になると聞いて、どう思いましたか?
あす香 日の当たる職業ではないので、作品という形に残ることがすごく嬉しかったです。漫画を読ませていただくと、現場で起きていることそのままで驚きました。お客様を何名か水谷先生にご紹介したことはありますが、私からは施術中の出来事について、そこまで詳細にお話ししたわけではないんです。それなのに、まるで現場を見ているかのようなリアルな描写で驚きました。
女性用風俗は心や体の繊細な部分を扱う仕事ですが、先生は細かいところまで丁寧に表現されていて、すごいと思います。
――ご自身がセラピストとして施術することもあるそうですが、女性客が女性セラピストを指名するのは、どんな理由があるのでしょうか?
あす香 「夫のことは大好きだけど、セックスレスだから女性用風俗を利用したい」という方が多いです。そのため「女性セラピストが相手なら、夫に対して少しは罪悪感を抱きにくいかな」という理由で指名する方もいます。
水谷 セックスレスに悩んでいるお客様は、真面目そうな方が多いそうですね。
あす香 綺麗で仕事ができる、女子校育ちのお嬢様みたいな方が結構いらっしゃいます。お金もあるし素敵な人生を歩んでいるけど、セックスレスはなかなか解決できない。女性用風俗を利用する方全体として、そういった傾向があるかもしれません。
ご本人が「普段から夫に女として見られるように頑張っているんだけど……」とおっしゃる通り、メイクも髪型もバッチリ、下着は派手なものではなく、小花柄を着けている方が多いです。
また、「私が女性用風俗を使う理由」をノートにびっしりと書いてきて、「こういう理由があって利用したいのですが、私は間違っていませんか?」と確認する方もいました。
水谷 女性セラピストを指名する理由としては他にも、「男性セラピストから挿入をチラつかせられて嫌悪感を抱くようになった」という方がいました。女性に抱きしめられると安心感があって、「おっぱいは心の故郷」と感じたそうです(笑)。「どういう感覚なんだろう?」と思ったので、私もあす香さんにハグをしてもらったのですが、すごく柔らかくて温かくて、「女性の包容力ってすごいな」と感動しました。

