「『あんなに好きだったのに……』と物凄い長文の抗議文が届いたこともありました」。女性用風俗オーナーのあす香さんと漫画家の水谷緑さんの対談の後編パートをお届け。女性用風俗を経営していると、ときには女性客と男性セラピストの間で「トラブル」が起きることも…。いったい何が?(全2回の2回目/最初から読む)
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きっかけは、高校時代の性的トラブル
――あす香さんは、「女性の性の悩みを聞ける人になりたい」という思いから女性用風俗を立ち上げたそうですが、きっかけは何だったのでしょうか。
あす香 高校時代に男性との性的なトラブルに遭ったことがきっかけでした。誰かに相談したかったけれど、誰にも言えなかったんです。そのときから、「大人になったら女性の性の悩みを聞ける人になりたい」と思うようになりました。警察官や教師に憧れましたが、勉強が得意ではなかったので「エステティシャンなら私も目指せそうだし、女性の悩みを聞いてあげられそう」と考えました。百貨店のエステティシャンになったのが、人の身体に触れる仕事のスタートでした。
そして20歳で、男性向けに性的なサービスをするマッサージ店で働くようになり、早い段階から講師として指導する側になりました。それから2017年末に、無料モニターとして、男性から少し色気のある雰囲気でマッサージを受けるサービスを体験したんです。男性から、女性として丁寧に扱ってもらえる心地良さに感激して、「女性用風俗なら自分の技術が生かせるし、女性の性の悩みも聞くことができる!」と思い、2018年に「SPA White」を立ち上げました。
水谷緑(以下、水谷) あす香さんのお店は、男性社会に染まらない感じがいいですよね。他店では、男性経営者を中心に競争心を煽るようなホストクラブに近いノリがあるところもあるので、お店によって全く雰囲気が違うんだなと感じました。
――女性用風俗の経営で、大変なことはありましたか?
あす香 創業時は25歳だったので、苦労ばかりでした。
水谷 当時、男性セラピストは全員あす香さんより年上だったのでは?
あす香 年下も少しいましたけど、基本的には皆年上でした。でも一番苦労したのは、女性が何を求めているのか最初は分からなかったことです。「どうやったら、女性は性的に湧き上がるんだろう?」とすごく考えながらやってきました。自分の型ができるのに5年程かかりましたね。
水谷 「最初の頃は、女の子に対してイチャイチャモードになるのが大変だった」とおっしゃってましたね。ご自身の恋愛対象は異性なんですよね。
あす香 異性愛者です。施術することに全く抵抗はないですが、女性から触られることは、まだ少し心の準備がいるかもしれません。
また、初めのうちは男性セラピストをどう扱っていいのか分からず、クレームやトラブル対応に苦労しました。その都度皆で話し合いながら、今はやっと、「このお客様はこういうタイプかな」「この男性セラピストはこんな問題を起こしやすいだろうな」と大体パターンを予測できるようになりました。

