警察にマークされた母が編み出した「覚醒剤の販売術」

 美奈子は覚醒剤の密売をするにあたって、住吉会の構成員をパートナーにして後ろ盾になってもらっていた。その時々で相手の男は変わったが、ことごとく背中には和彫りの刺青が入っていたそうだ。それだけ暴力団との関係が深かったのだろう。

 当然のことながら、地元の警察は美奈子をマークしており、時にはマンションに家宅捜索に押し入って来た。美奈子はそれを承知の上で、あの手この手で覚醒剤を隠していた。

アルミ缶に巧妙な細工を加えたり、娘の鞄に隠したり、母はさまざまな形で警察の目を盗み覚醒剤を売ろうとした ©Faustostock/イメージマート

 一恵が覚えているのが、ジュースのアルミ缶を加工する方法だ。プルタブは開けずに、アルミ缶の上の部分をカッターで2つに切断する。中身のジュースを捨て、空になった缶の中にビニールにつめた覚醒剤を入れて、水を足した後、切り離したアルミ缶を接着剤でくっつける。見た目は未開封の缶ジュースだが、中身は覚醒剤というわけだ。

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 その他、冷凍庫の食品に混ぜる方法だとか、一恵たち娘の学校の鞄に隠す方法だとか様々だった。売人仲間から聞いたり、自分で考え出したりしていたのだろう。一恵は子供ながらに、よくここまでアイディアが出るなと呆れて見ていたそうだ。

 しかし、警察の目はそこまで節穴ではない。一恵が小学4年生の時、マンションに家宅捜索にやってきた警察官たちがついに隠していた覚醒剤を発見した。

次の記事に続く 「私はヤっちゃう方だった」「もう別次元の快楽」“14歳の少女”は、覚醒剤に狂う母の後を追って自身も薬物の沼に溺れていった…「ヤクザの子」が振り返る怒涛の半生

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