2/5ページ目
この記事を1ページ目から読む
小学生から夜遊び 仲間たちとネオン街へ飛び出した
一恵はこう語る。
「みんな小学生から中学生だったから、遊ぶったってかわいいもんだったよ。夜中の誰もいない公園や神社で鬼ごっこをして走り回って、ヘトヘトになったら先輩が持ってる煙草を回し吸いするの。
それで誰からともなく『街に行こうぜ』ってなってネオン街をブラつくんだ。夜の街には、私たち以外にも似たような子供がいて、だんだんと友達も増えていった。
夜遊びについては、おばあちゃんによく怒られたよ。でも、私は知ったことじゃねえって態度だったね。迷惑をかけてるって気持ちはまったくなかった。だって、おばあちゃんは本音じゃ私たちを引き取りたくなかったんだもん。
お母さんが捕まったし、お父さんがだらしないから、仕方なく面倒をみることになったんだって愚痴ってた。私としては、だったらあれこれ言わねえで、好きにさせろって感じだった」
この頃の一恵は、まだ自分がレールの外に足を踏み出していることを自覚してはいなかった。
母親の美奈子が刑務所を出所したのは、一恵が12歳の時だった。