覚醒剤を打てれば、他はどうでもよかった

 中学卒業後、一恵は周りに合わせて高校に進学したものの、勉強をする気は微塵もなかった。覚醒剤を打つことができれば、他のことはどうでもよくなっていた。

 そんな頃、美奈子は守との関係がうまくいかなくなり、別れ話が出はじめていた。居住先は守のマンションなので、別れるとなれば子供たちとともに立ち去らなければならない。美奈子は別の男と恋仲になり、守のマンションから出て行く準備を進めていた。ある日、美奈子は、一恵と妹を呼んで言った。

「私は、このマンションを出て行くことにした。新しい彼氏のマンションに移ることにするけど、彼氏からあんたら子供には来てほしくないって言われた。だから、2人は、実家で暮らしてくれない?」

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 新しい恋人は、美奈子より20歳以上年上で60代後半の住吉会構成員、菅原文明だった。一恵は「なんでこんなジイさんと」と思ったが、覚醒剤つながりだと考えれば納得がいった。覚醒剤がいつでも手に入り、用途が同じならば、相手は誰だって構わないのだ。

次の記事に続く 「得た金は全部クスリに消えた」「14歳のときから、だいたいキマっていた」売春詐欺や車上荒らしを繰り返しては、覚醒剤に溺れていた“ヤクザの子”がたどり着いた「意外な天職」

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