同級生・小泉今日子との“慎重な”関係性

 もたいが小林と日頃から付き合いがあるだけに共演が恥ずかしかったというのと対照的なのが、小泉今日子だ。小林は小泉と年齢でいえば同級生にあたり、やはり19歳で初共演して以来、年齢を重ねるにつれてその機会が増えている。

 30代で共演した『すいか』では、小林演じる基子の職場の同期にして親友で、3億円を横領して逃亡する役を小泉が演じた。50代後半に入ってからも、向田邦子作のドラマを舞台化した『阿修羅のごとく』(2022年)で、登場する4人姉妹のうち小泉が長女、小林が次女に扮していたのが記憶に残る。ただ、二人はプライベートではほとんど付き合いがないという。

小泉今日子 ©文藝春秋

 小泉によれば、《出会ってから、ゆっくり慎重に関係を進めてきたという感じです。仲良くなって電話番号を教え合うみたいな瞬間は一度もないです。すごく慎重だったから、今ここに来て確固たるものになってきているという印象ですね》という。これは昨年(2024年)、NHK-BSのドラマ『団地のふたり』での共演にあたり、そろって取材に応えた際の発言だ。

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 これを受けて小林も《仕事場で接するうちに、小泉さんの生きざまみたいなものに触れてきたので、いい加減な気持ちで接することができないのです》と述べた(以上、引用は「TVガイドWeb」2024年9月5日配信)。

ドラマ『団地のふたり』(NHK/2024年)

『団地のふたり』で二人が演じたのは、同じ団地で育った幼馴染みで、一旦はお互い団地を離れて暮らしながらも、それぞれ紆余曲折あって戻ってきた50代という役どころだった。劇中では、小泉が仕事帰りに小林の家に立ち寄っては一緒に食事をしたり、高齢化の進む団地の住人たちと交流したりするなかで、絶妙のコンビネーションを見せていた。それも、長年慎重に築き上げてきた関係性のなせるわざなのだろう。

 小林は昨年、小泉の演出により人生初のコンサートも実現させている。チケットが即完売だったというそのコンサートで、彼女は昭和歌謡を中心に見事に歌い上げた。今年もコンサートを夏に開催予定だという。