​​「新聞読み比べ」は複数紙を比べることですが、同じ新聞だけでもできることがある。今回はそんな楽しいご報告です。

他会派は「都議選の争点つぶし」と批判

 東京都は5月20日、今年夏の4カ月間、一般家庭向けの水道の基本料金を無償化すると発表した。物価高が続く中で家計を助け、浮いた水道代で猛暑時のエアコン利用を促す狙いだという。小池百合子都知事は記者会見で「暮らしへの不安から、エアコンの利用控えが起こるのではないか。いわゆる熱中症で亡くなる方は大体屋内。この夏に限った措置として実施する」。

小池百合子都知事 ©時事通信社

 発表までの流れをおさらいすると、前日の19日に自民党、都民ファーストの会、公明党の「知事与党」が相次いで水道基本料金の無償化を要望していた。記者から小池知事に対して「都議選(6月22日投開票)に向けて3党を応援する意図か」との質問も出たほどだった。東京新聞が伝えている。

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 さらに前日の記事を読むと興味深い。他会派は「都議選の争点つぶし」と批判しているという。どういうことか? 次に答えがあった。

《共産党の和泉尚美幹事長は「既に物価高対策として申し入れており、都政の重要課題に引き上げられた」と受け止めた。》(東京新聞デジタル版・5月19日)

 つまり水道基本料金無償化はもともと共産党が提案していたが、ここにきて自民党、都民ファーストの会、公明党も提案したのだ。「都議選の争点つぶし」と言われる理由である。「知事与党」3党は自分たちの手柄として無償化をアピールできるのだ。

 なるほどなぁ、こういう話を聞くと選挙(都議選)が近づいてきたなぁと思う。知事与党3党も必死なのだろう。そう思いながら東京新聞の5月19日の紙面をあらためて見てみた。すると、そこには都議選にも大きく関係してくるであろう記事が一面トップに載っていたのである。

『都議会自民党「裏金」問題を追う』

 出ました、裏金問題! 見出しには『パー券 誰に何枚 闇の中』。社会面にも『売った本人「分からない」パー券、記録も記憶もなし』。ずさんでありえないシステムが書かれていた。