「望んでそうなってるわけじゃないもんですから」
果たして、森山氏は小泉氏の動きをどう見ているのか。本人に電話で話を聞いた。
――講演で「再生産できる価格で」と述べていた。
「再生産できる価格が、区画によってこれだけ違うんですよということを意識しないと。一番安いところに合わせれば中山間地(傾斜地や棚田が多く、生産コストが高い地域)が困りますし、中山間地に合わせれば(それ以外の大規模農家などが)あまりにも儲けすぎますから。そこをどう調整するか。再生産の生産費がこんなに違う作物は無いと思います。
1ヘクタール未満の農業経営体が35万8000経営体(2023年当時)、10ヘクタール以上が2万3000経営体(同)あります。この2万3000経営体に合わせればコストは下がるんです。しかし、35万8000経営体のことも考えないといけません。望んでそうなってるわけじゃないもんですから。先祖代々引き継いできた農地がたまたま中山間地にあるということなんですね」
――小規模な兼業農家の方が数も多いし、コストも高い。
「高いんですね。そこをどう調整していくか。それと、コメの一番の問題は、毎年人口は減りますから、10万トンずつ消費が減るわけですよ。だから、『目一杯作って下さい』とやると、値段が本当にどうしようもないぐらい下がっちゃう。だから、新しい食料・農業・農村基本法で、まず5年間、重点的に予算を入れ、しっかりやっていこうと。やっぱり土地改良を思いきって進めようと。すると、面積の広い田んぼで作れるようになりますから。総理がよく『作るだけ作ればいい』とおっしゃるんですが、それはその通りなんですけど、土地改良をしっかりして広いところでできるようにしてやらないと」
