「身長が高くて強そうっていう雰囲気だけはあって…」バレー部時代の苦悩

――部活動であったり、スポーツ経験はありますか。

ミシャ 中学校ではバレーボール部に入ったんですけど、大変でした。私、バレーボールがめっちゃ下手くそなんです。もう本当に向いてなくて。部活自体は真面目に頑張っていたんですけど、才能がないからもう全部できない。

 レシーブすればどっかに飛んでっちゃうし、サーブも全然入らなかったです。ただ試合には出されてました。170センチもある子が地域には全然いなかったから、私のブロックは無敵で。ブロック1本で勝負してました。

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――確かにそれだけ背が高いとポテンシャルを感じてしまいますよね。

ミシャ 先生はどうにかして才能を開花させようと思っていたみたいです。でも3年間やりましたけど、うまくならなかったですね。身長が高くて強そうっていう雰囲気だけはあって。市の選抜メンバーに選ばれそうになったこともありました。

 ただ、私はどうしても選ばれたくなくて。本当は雑用とかを率先してやって、バレーへの意欲を示さないといけないんですけど、わざと1個もやらず壁際で偉そうにしてました。ボール拾いも絶対やらないし「協調性ないです、私」みたいな感じで(笑)。

 市の選抜メンバーは12人選ばれるんですけど、私は13番目でギリギリ落ちたって言われました。「12人目をもう1人の子とどっちにするか迷ったけど、ネットを立てたりしなかったから落とした」と言われて、危なかったなと思いました。

 高校に入ってもバレー部から毎日のように勧誘されて。「絶対うまくなるから、先生がうまくさせてあげるから、バレーボールをやらないか」と誘われて。私は中学3年間で傷ついていたので「絶対やりたくないです」って断りました。

「私は女としては生きていけないんだ」「もう男になろう」と思い、男装したことも…

――部活以外で中学、高校時代はどうでしたか。

ミシャ 中学校の時は好きな人がいたんですけど、その頃が人生で一番身長が高いことに悩んでいて。自分より身長が低い人は私のことを絶対好きにならないだろうなって思ってました。

 親戚の集まりとかでも「そんなでかくなってどうすんのよ」みたいに結構言われていて。自分の中で結婚はできないんだろうなとずっと思ってました。昔の人は、女は料理するものと同じぐらい当たり前に、男の人は自分より背が低い女の人と結婚するという価値観があったように思います。

 

 高校生の頃にタクシーで「顔は綺麗だけどもったいないね。こんなに大きくなっちゃったらお嫁にいけないね」って言われたことも鮮明に覚えていて。別に無視すればいいのに「私、お嫁に行けないんだ」と引っかかってました。

 当時は身長が高いのが本当に嫌すぎて、泣いていました。思春期の頃は身長が低い子がかわいいと思っていたこともあって、自分に全然自信がなくて。「私は女としては生きていけないんだ」「もう男になろう」と思った時期もあって、弟の服を借りて、ほぼ男装だった時もありました。