“母になった堀北真希”を求める声
瑞稀が“オトコマエ”さとかわいさを併せ持っているキャラクターならば、引退前の最後の作品となった『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』(2016年/日本テレビ系)で堀北が演じた来宮渚は、心の闇を抱えながらもそれを克服しようともがいている“オトコマエ”さが全面に出ている女性だった。
来宮は、自身の目の前で父が殺害されたショックで人が持つ悪意に過敏に反応し、シンクロしてしまう体質に。だが逆にそれを利用して、警察官となり事件を解決するようになる。
現場では被害者の感情にシンクロしすぎて意識を消失してしまうが、その直前に事件解決の糸口となる言葉を口走るため、必ず誰かがそばにいる。悪意が溢れすぎる世の中を嫌っているが、真実を解き明かすために心身を削る“ダークヒーロー”的な来宮は、堀北の新たな一面を引き出すものだった。
一方で、堀北は映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)のようなノスタルジックな世界を舞台にした作品にもよく馴染んでいた。つまり、堀北はどんな作品にも溶け込む演技力を持った実力派で、彼女の作品を楽しみにしていた人は、老若男女問わず多かったのではないだろうか。
可憐さも美しさもあり、芯の通った女性でもあった堀北真希。世間では多部未華子、石原さとみら同世代の女優たちが堀北と同じように妻となり、母となった後にドラマや映画で母親役などを演じ、若手だったときとは異なる魅力を開花させている。
だからこそ、堀北がまだ第一線で活躍してくれていたなら、どんな女優になっていたのだろうと考えることをやめられず、やっぱり「堀北真希が復帰してくれたらなあ!」と思ってしまうのだった。
