遠藤記者に「今回の東京高裁判決をどう思いました?」と聞くと
記者クラブで警察から情報を得るために、関係性を壊さないために。遠藤記者やNHKディレクターはアウトサイダーだからこの事件を掘り下げられたのだろうか。だとしたら他メディアはどこを向いているのだろう。
毎日新聞の社内でも当初は大丈夫か?という空気もあったが記事の評判が良かったので背中を押してくれたという。読者としては頑張っている記事はどんどん話題にする、共有するというのは大事だと痛感したのである。
では最後に。今度は私が遠藤記者にいろいろ尋ねてみた。まず今回の東京高裁判決をどう思いました?
「警視庁公安部は、国際ルールを無視して、自分たちで勝手にルールを決め、当初はそんなルールはおかしいと言っていた経済産業省をねじ伏せて、立件に突っ走ったという内容です。判決文には『捏造』という言葉こそ出てきませんが、大川原化工機代理人の高田剛弁護士が指摘するように、捏造と認定したに等しい内容と言えます」
公安部がいかにストーリーありきで証拠を作り上げていったのかは本の中でも詳しく書いてますね?
「そのめちゃくちゃな捜査により、1人の方が亡くなっているのです。これは、国家権力の暴走です。仮に民間企業がこのような不祥事を起こしたらどうなるでしょうか。すぐに潰れていると思います。何をしようが潰れることのない警視庁は、全く反省する様子はなく、謝罪も検証もしていません。
それは控訴審での警視庁の主張をみれば分かります。公開の法廷で捜査は間違っていたと決死の覚悟で証言したであろう3人の警察官のことを、『壮大な虚構』と切り捨てました。警視庁の正義は、いったいどこにあるのでしょうか」
私は遠藤記者にインタビューされたときに 今回の冤罪事件は「人ごとではない」と言いましたが、あらためてどう思いますか?
「『明日は我が身』かもしれません。私は100時間以上、複数の捜査関係者から話を聞いており、この捜査がどれだけ杜撰だったのかを知っています。怒りしかありません。多くの皆さんも、この冤罪事件に関心を持って頂き、我が身に置き換えて、怒ってほしいと思います」
紙面では淡々と事実を伝えるのが記者の役割だ。だが今回はこうした生の声を伝えて終わりたいのである。
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