――LDHにはEXPG(EXILE PROFESSIONAL GYM)という育成スクールがありますよね。
HIRO EXPGには全国に5000人ほどの生徒がいるんですが、その中の特待生から、さらにオーディションを経てデビューに向けて進んでいくシステムがあります。この20年で培ってきたLDHとEXPGの連携で、唯一無二のアーティストを発掘、育成する仕組みができています。LDHには世界中からゲストが集まりますが、この新人発掘と育成の仕組みには本当に感心してもらえます。
――一方で、EXILEや三代目 J SOUL BROTHERSのボーカルは一般オーディションからも選ばれています。
HIRO LDHのオーディションは、EXPG、LDH、アーティストのそのときの状況によって内容や目的、方法も変わってきていると思います。例えば初期のEXILEオーディションでは、人材発掘だけでなくファンサービスやプロモーション、社会貢献の意味合いも強かった。EXILEのファンやLDHに興味がある人と直接会う機会を作ること自体も目的の1つで、実際に僕も審査員として2万人くらいの参加者と顔を合わせました。
まだSNSは普及していない時代だったので、直接会ってコミュニケーションをとることが本当に大切だなと思っていました。参加者が「俺、HIROの前で歌っちゃったよ」なんて友達に話してくれたら、それだけでちょっと身近に感じてもらえる。さらにその人が100人に自慢してもらったら、宣伝にもなった。全国各地に足を運んだのは、そういう狙いもありました。
例えば、アーティストにならなくても、何かに挑戦したい人にもどんどん参加してもらいました。自分たちのオーディションで社会の役に立てることがとても嬉しかったですし、改めて、エンターテインメントだからこそできる社会貢献を感じることができました。本当にたくさんの参加者の人生の役に立てたオーディションだったなと、今でも自信を持って言えますね。
棚橋 直接会うことって本当に大きいですよね。僕らも試合やプロモーションで全国を回ってますけど、直接会って話をすると、その後もずっと応援してくれる方が多い。各地域でのプロモーションはすごく大事にしています。
――先日、棚橋さんがチケット売り場にいたと話題になっていましたよね。
棚橋 自分の試合がない日でも今はなるべく会場には行くようにしてるんですけど、ただ見てるだけじゃ申し訳ないので、チケット売り場やグッズ売り場で販売のお手伝いをしたこともありました。
HIRO 棚橋さんが売り場にいたらそりゃ買いますよね(笑)。
棚橋 めちゃくちゃ売れましたね。ただ、後日スタッフに怒られました。「勝手なことしないでください」って(笑)。
「スキルだけが高ければいいというものでもないんですよね」
――オーディションや入門テストで、「この子はいいな」と思うのはどんな瞬間ですか?
棚橋 僕はインターバルの時の行動をよく見ています。例えば、自分の体力テストが終わった後、ただ休むのではなく他の人をしっかり見ている子。さらに、その人のために声を出して応援できるかどうか。そういう人間性の部分はすごく気にしますね。
HIRO よくわかります。スキルだけが高ければいいというものでもないんですよね。人間性は本当に大切ですし、あとは伸び代ですかね。未来を感じさせてくれる子は、例えその場で実力を発揮できなくても、感覚的になにかを感じることができる。
また、LDHのユニットは全体のバランスや関係性も大事なので、「この子がいることで、あの子がもっと輝くな」とか、「この組み合わせだといい化学反応が起きそうだな」とか、そういう視点でも見ています。チームはメンバー同士でさまざまな面を補うことができますから、スキル的に未熟でも、ユニットに入ることで大きく成長しそうな子や、メンバー同士の相性が良い子は魅力的に映る。なので、オーディションを進めながら、参加者のみなさんを感じることでアーティスト・グループのイメージがどんどん膨らんでいきますね。
棚橋 僕、戦隊モノが昔から好きなんですよ。だから、みんながそれぞれ違う役割と個性を持って集まるっていうのに美学を感じます。アカレンジャーばかりじゃチームにならないじゃないですか。プロレスも一緒で、似たようなプロレスラーは2人もいらない。だから個性やバランスは重視しますね。

