「死に顔を見たくなかったから」顔の皮を剥ぐ

 映画は、ワンとディンの孤独な魂が出会い共鳴した結果に起きた哀しい事件だと描く。出会い系サイトで出会った青年に恋をしたワンが青年にフラれ、ネットで知り合ったディンのもとに出向き、殺してほしいと懇願。罪を背負うことも受け入れた彼が彼女の首に手をかけることになっている。が、このストーリーは完全な創作で、実際の事件は陰惨極まるものだった。

 2008年4月26日、ディンは友人とクラブで危険ドラッグを楽しんだ後、翌朝に帰宅。ドラッグで高揚した気分のまま、出会い系サイトにアクセスし、以前にも買ったことのあるKIMIことワンとコンタクトを取り、会う約束を取りつける。外でランチした後、自分の部屋に連れてきて、ドラッグを摂取しながらセックスを楽しむ。そのまま記憶がなくなり、15時ごろに目を覚ますと、ワンが口から血を流して倒れている。すでに体は冷たく、呼吸も脈拍もない。部屋には自分と2人しかいないのだから、彼女を殺したのは自分ではなかろうか。ぼんやりした記憶の向こうで、彼女の首を掴んだような気もする。

写真はイメージ ©getty

 しばし、パニックに陥った後、怖さが押し寄せてきて、咄嗟に遺体を処分しようと思いつく。自室の狭いトイレで15分ほどワンの喉から血を流した後、まな板の上で首の骨を切断。次に手足を切り落とし、体内から内臓を取り出した。ワンの体は小さくて薄いため、骨を切るのは簡単だったが、皮と肉を一緒に切るのが難しい。供述によれば、「みんながこうやって豚肉を切っているので」皮を先に剥ぎ、「死に顔を見たくなかったから」顔の皮まで剥ぐことにしたという。

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 トイレが詰まらないように内臓、皮、肉を一つ一つ細かく切り、少しずつ放り込んでは流す。手足の指は切り刻み、腕や足の裏、背骨など、比較的大きな骨は市場に捨てようと、「豚の骨に見えるよう」肉を切り取ることに全力を尽くした。解体が終わったのは22時ごろで、その後トイレに流せない頭部を発泡スチロールの箱に入れ、バスで出向いた九龍城埠頭から海に投棄。さらに、残っている大きな骨を持ち、石硤尾市場へ。開いていた豚肉屋台に忍び込み、豚骨が入った竹籠に混ぜ入れると遺体は完全に消えた。

次の記事に続く 肉はトイレに流し、骨は市場の豚骨に混ぜたはずなのに…「16歳援交少女バラバラ殺人事件」犯人逮捕につながった『動かぬ証拠』とは?(海外の事件/平成20年)

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