2023年、千葉県船橋市に焼肉屋「ジュンチャン」をオープンし、飲食店経営に本格的に参入したタレントの石田純一さん(71)さんだが、実は転機はこれだけじゃなかった。同年には突如、40年以上続けていた「俳優業の引退」を宣言。いったいなぜなのか?(全4回の2回目/最初から読む)
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監督から殴られたことも…ひねくれていた若手時代
――純一さんは柔和な雰囲気ではありますが、周囲を気にせず自分のやりたいことを貫く反骨心のようなものも持ち合わせていますよね。
石田純一(以下、石田) 反骨心というとかっこいいけど、たしかにひねくれたところはあるね。東京生まれなのにジャイアンツが嫌いだし、サッカーでもレアル・マドリードではなくFCバルセロナのファン。メジャーリーグもヤンキースよりドジャース、レッドソックスだから筋金入りかも(笑)。若手の頃は、監督の言うことを聞かずに殴られたりしていたし……。
――殴られるんですか!
石田 監督に叱られて、「はい」と返事したくせに結局違うことをやる。だって、言う通りに演じたら、めちゃくちゃダサい時が一番困る。相手の両肩をつかんで、「頑張るんだ! 自信を持て!」と揺すって励ますとか、暑苦しい体育教師じゃないんだからさ(笑)。あまりに監督の言うことを聞かないから、しまいには殴られましたよ。
――時代だ……。
石田 あの頃の撮影所は常に緊張感がありました。「出入り」だって言って、スタジオ同士で集団でケンカするんだよ(笑)。
――ヤクザの抗争みたいですね。
石田 そう、抗争なの。そんな昔ながらの雰囲気だから、どの撮影所も俺は合わなかったね。それがちょっと時代が進んでみると、トレンディドラマの現場なんて、キャストもスタッフもみんなキラキラしてオシャレな格好してるんだ。これが。
――純一さんは今も映像制作の現場に強い愛情を持っている印象ですが、2023年に俳優引退を宣言しましたよね。なぜですか?

