周囲の住民から「購入して住んでいる」と思われがち
さらに、戸建てならではのクレームが入ることもある。戸建ては集合住宅と異なり、庭があったり、木が植えられていたりすることも多いが……。
「高台にあった戸建て物件では、下に位置する家の屋根や庭に木の枝などが落ちてしまうことがありました。それで、下の家からクレームが入り、オーナーである私が被害状況を確認して、謝ったりしましたね。結局、物件の木は伐採しました。周辺住民がまず入居者に連絡を入れた場合でも、賃貸物件なのでオーナーや管理会社が対応するんです」
他にも、周囲の住民から集合住宅とは異なる見られ方をされることもあるという。
「周辺の方は購入して住んでいると思っているので、近所付き合いは必要になってくると思います。ゴミ出しや挨拶、自治会への入会を頼まれるとかですね。私の物件では、近所付き合いトラブルを起こした人はいませんが、集合住宅とはやや異なった生活環境になるかもしれませんね」
鬼のようなオーナーから、いきなり退去を命じられることも
一方、たまっち氏は、戸建て賃貸は立ち退きの可能性が集合住宅より高いと指摘する。
「集合住宅だと10軒以上退去交渉しなければいけないことが多いのですが、戸建てだと1世帯と交渉すればいい。集合住宅の場合、全員の退去が完了するまで大体3~5年ほどかかりますが、戸建ては1世帯なのでもっとスムーズです。そのため、『土地の値段が上がっていて、新築を建てたい。取り壊しも含めてうちで払いますから』という業者が現れれば、すぐに譲ってしまうオーナーもいると思います」
このような鬼のようなオーナーから、いきなり退去を命じられ、できる限り住み続けようと思っていた高齢者が路頭に迷うケースもなくはない話だ。ただ、たまっち氏はこうした高齢者の住まい問題について、そこまで悲観する必要はないと考えているという。
「空き家なども含めて、今後は家が余っていきます。公営住宅やその他セーフティネットもありますので、高齢の方であっても、それらをうまく活用できれば、どこにも住めないという事態にはならないと思います」
戸建て住宅の人気はまだまだ高いが、今後このトレンドは変化していくのだろうか。
