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勝負するのは「ここじゃない」

「影響ないと思います。勝って1位で通過していればもちろん状況的に良かったし、ベスト16、ベスト8の対戦相手も悪くなかったと思います。でも、トーナメントになれば厳しい戦いになるのは変わらない。ブーイングされても、勝負するのは『ここじゃない』というのがチームにしっかりとあったし、割り切っていました。まぁ喜びは半減かもしれないですけど、それでもこの3試合の戦いというのは自信にしていいと思います」

残り8分間はひたすら後ろでパスをまわす展開となった ©JMPA

「やったー」ではない、南アフリカW杯の時との違い

 決勝トーナメント進出は8年ぶりになる。

 2010年、南アフリカW杯の時は、グループリーグ3戦目のデンマークに3-1で勝ってベスト16に進出した。勢いに乗った感があったが、決勝トーナメント1回戦でパラグアイにPK戦の末に敗れた。果たして今回は当時と比較して違いがあるのだろうか。

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「南アフリカW杯の時は、デンマークに勝って『やったー』という感じでグループリーグを終われたけど、今回は違う展開というか……。コロンビアが勝ったことで決勝トーナメントに出られたんでお祭り騒ぎにはならなかったんですけど、ホッとした部分がチームにあったと思う。やったーという喜びよりもホッとした喜びというのは、今までにないW杯かなと思います」

©JMPA

 まさに“ホッとした”というのが本音だろう。

 決勝トーナメント1回戦の相手は、イングランドではなく、ベルギーになった。イングランドであればプレミアリーグでプレーする岡崎の経験や知識が活きただろうが、相手がどこであれ、これからノックアウトの一発勝負になる。

“プロフェッショナル”に徹した日本代表

「ベルギーもイングランドも個々の能力は高いけど、自分らが組織的な戦いができれば勝機が出てくると思う。主力選手が回復できたと思うし、サブの選手もW杯を経験できて、やれる手応えを掴めたのはチームにとってはいいこと。次(決勝トーナメント)に対してみんな準備ができているし、勝ち上がったことでより一体感が深まった。これからはひとつでも多く勝っていきたい」

ベルギー戦は7月3日(火)am3:00~ ©JMPA

 岡崎は唇の右上に血をにじませながら、そう言った。

 残り約10分の試合の終わらせ方は物議を醸した。

 だが、日本の目標はこの試合に勝つことではなく、決勝トーナメントに進むこと。選手たちは西野朗監督の指示に従い、貫徹した。消極的な指示やブーイングに動揺を見せる選手はおらず、ナイーブさは皆無だった。

「みんなもチームもほんと強くなったと思います」

 岡崎にとってみれば本当の勝負に勝つために試合に負け、プロフェッショナルに徹したということなのだ。