「被告人の主張はあり得ない偶然に満ちていて、話を作り上げているのは明らか。被告人が犯人でなければ、合理的な説明がつかない」
男にくだされた罰は…
清川は2つの事件の間に窃盗罪で有罪判決を受けていたため、併合罪は適用されず、別々の事件として審理されることになった。
その結果、トゥイさんに対する殺人罪で無期懲役、由香里さんに対する傷害致死罪では求刑を5年上回る懲役20年を言い渡された。清川には刑法の規定で無期懲役が先に科されることになった。
「被告人が犯人であることは明らか。欲望の赴くままに犯行を繰り返しており、法律上選択し得る最高刑をもって臨むほかない」
清川の公判では、清川が撮った写真を白黒に加工して裁判員にも公開されたが、それを見た若い女性の裁判員が嘔吐しそうになり、よろめいて自分で立ち上がることもできなくなったため、その日の公判自体が中止になったこともあった。
清川は3人兄弟の次男である。窃盗などで前科4犯があり、結婚歴はない。清川の兄は情状証人として出廷し、次のように述べた。
「実家に帰ってきたのは、窃盗で警察に捕まったという理由だが、謝罪の言葉を聞いたことがない。今現在、町内会の付き合いが断たれてしまって、私自身、仕事に行くのが精一杯の状態。一番下の弟は子どもが4人いて、母を含めた計8人で生活しているが、子どもたちがどんな辛い思いをするのか気がかりだ。明雄は何事に対しても人のせいにするところがあった。母も明雄の行く末を心配しているが、長くかかっても反省の機会が与えられるなら、与えてもらいたい」
死体に性的興奮を覚える異常性癖をネクロフィリアと呼ぶ。海外には報告例が多いが、こうした性的倒錯者は孤独を紛らわすため、何年も殺人などを空想し、やがて強烈な刺激を求め始める。
清川も少年時代から「ガンキン(ばい菌)」などとからかわれ、反撃もしてこないことから、「面白味のない奴」として、誰の印象にも残らないほど孤独な男だった。そんな男が長年にわたり、ネクロフィリアの空想を膨らましたのだろうか。
もっとも清川はその性癖を否定し、何度も内臓の写真を撮っていた理由について聞かれたが、「なぜそんなことをしたのか分からない。内臓を見たいという欲求はない。刑事に『トゥイさんの写真を撮って、センズリしとったんだろう』と言われましたが、そんなことはしていないと否認しました」などと繰り返した。それなのに内臓の写真を携帯の待ち受け画面にしていた。
清川の心の内は誰にも分からないが、清川が再びシャバに出てくる可能性はゼロだろう。
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