ゲーム終盤にフライを見失うジャイアンツ球場
戸田は河川敷のグラウンド。春は強烈な花粉と戦い、夏は河川敷の炎天下に耐えるという、ヤクルトと戦う前に自然条件とも戦うユニークな球場(ちなみに秋は、河川敷でピクニックに来ている家族を見てまったりしてしまい、試合に集中しづらくなる)。この人工芝の照り返しが強烈。同級生の上田剛史が教えてくれた情報によると、温度計を人工芝の上に置いたら、示した数字はなんと55℃。たしかに、ベンチからグラウンドを眺めると、地面から出たカゲロウで、内野手の腰のあたりまではよく見えません。戸田で3連戦があると、選手かお客さんの誰かが熱中症で運ばれます。救急車の到着がものすごく早いのは、たぶん待機しているのでしょう。
ロッテ浦和もなかなかの暑さ。戸田から車で15分ですから、気温は似たようなところがあります。ただし、河川敷でないこと、人工芝でないことが理由で、戸田より体感気温は10℃ほど低いです。ここは浦和の住宅街の中にあり、かつ、ロッテ浦和工場の横。試合中にチョコレートの香りが漂ってきます。暑さに、チョコレート。文字通り溶け出してしまいそうですが、僕はこの球場とものすごく相性が良かったので、暑いという記憶があまりありません(ちなみに、サイクルヒットを記録したのもこの球場。一応最年少記録で、まだ破られていないはず)。
鎌ヶ谷(日ハム)、ジャイアンツ球場に関しては、ベンチの裏に入ればエアコンが効いていますから、避難が可能です。鎌ヶ谷の暑さも尋常じゃないですが、裏に避難できるという安心感は絶大なものがあります。ジャイアンツ球場は夏の間、16時試合開始になりますから、暑さとの戦いはそこまで起こりません。しかし、夕方から夜にかけて薄暮という時間が訪れます。夜になる直前に、空が真っ白になってフライが全く見えなくなる時間です。16時に試合が始まると、薄暮タイムはちょうど8回裏あたり。試合のめちゃくちゃ重要な局面なのに、フライが上がるとほぼ見えません。それもそれでこの球場の事前準備として重要な情報です。
仙台や山形も暑いことには変わりありませんが、「俺は今東北にいる」と自分に言い聞かせることで暑さから一時的に解放されます(いえ、解放されませんが、3連戦くらいならギリギリ自分を騙せます)。
我らがホーム、横須賀スタジアムは、夏の間はナイターゲーム中心のため、暑さとは無縁です。その代わり、横須賀スタジアムの照明は通常ナイターゲームを行う球場に比べて照明設備が2基少なく、暗さとの戦いになります。ボールの回転を識別することはほとんどできず、フォークボールは魔球、ストレートは5キロ増がこの球場での常識となっております。
あれはプロ3年目、ジャイアンツの選手と会話をした時の話。
「この前ドームで試合したんだけどさ、やっぱドームはいいね!」
と言っていたので、
「やっぱり、雰囲気とかいいの??」
と興味津々で質問すると、
「いや、涼しい!」
と答えていたのが、2軍のデイゲームの日々がいかに暑いかを象徴していますね。
以上がイースタン・リーグの話でございます。観戦の際は、徹底的に熱中症対策をした上で球場にお越しになり、ジャイアンツ球場の8回あたりからは、フライの場所を選手に伝える準備をお忘れなく。
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