毎年のように俳優やアーティストがドラッグをめぐって逮捕されていく芸能界。一体、何が起きているのか。長年、薬物取材を手がけてきた「週刊文春」エース記者が紐解く芸能界の薬物汚染の実態。「週刊文春 電子版」異色の連載第4回の一部を抜粋して公開する。(初回は#1へ)
品川区内の閑静な住宅街に不釣り合いなセダンが長時間待機していた。数人の男たちが眼光鋭く車内から一点を見つめている。早朝5時過ぎ、1台のタクシーが停車し、中から白色のTシャツ、黒色のハーフパンツにサンダルというラフなファッションに身を包んだ若者が降りてきた。次の瞬間、その若者を目掛けて4人の男たちが猛ダッシュで駆けつけ、挑むように四方を囲む。殺気立った男たちは、若者と顔が触れるほど距離を詰めて言った。
「捜索差押許可状が出ている。部屋の中を案内して」
捜査員の一人が玄関を指差すと、若者が引きつった表情で頷く。男たちの迫力に気圧されたのか、若者は迎合的な笑みすら浮かべ、観念したように白壁の一軒家の玄関に繋がる階段を上った。捜査員らが室内に踏み込んだのは“襲撃”からわずか10秒後だった。
夜の店では知られた“イケメン二世”
2018年4月14日早朝5時25分――。「週刊文春」取材班が記録したビデオカメラには、こうした緊迫の瞬間が収められている。この日、捜査当局がガサ入れを行ったのは、大物スポーツ選手を父に持つD氏の自宅である。スポーツ界に燦然と輝く実績を残し、今なお影響力を持ち続ける偉大な父。その息子は父の威光を存分に浴びて育った。そして彼は逮捕されなかった。一体、なぜか。
「週刊文春 電子版」では、この記事の続きを配信中。Dの人物像やDに対して行われていた綿密な捜査、捜査で判明したDの行動パターン、そして家宅捜索の結果、逮捕に至らなかった背景などを詳しく報じている。

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