(1)所得税減税 取りすぎた税をお返しする

「103万円の壁」の撤廃、所得税課税最低限の123万円への引き上げは、昨秋の衆院選の大きな成果ですが、まだ道半ばです。昨年12月の自民、公明との三党幹事長合意に従って、国民民主党としては、178万円への引き上げを目指します。

 178万円は、最低賃金の上昇率に合わせた金額です。課税最低限が103万円に固定化された95年以降、最低賃金は611円から1055円と、約1.73倍になりました。そこで103万円を同じく73%引き上げると、178万円になるわけです。

昨秋の衆院選では議席を4倍に伸ばした Ⓒ文藝春秋

 引き上げによる減収額は財務省いわく「7.6兆円」。財務省にいた私からすれば過大見積もりのようにも思えますが、政府与党からは「7兆円も税収が減れば、公共サービスが行き届かなくなって救急車も消防車も来なくなる」と批判する声が聞こえてきます。

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 我々は他の公共サービス予算を減らせとは言っていません。経済成長率以上に国の税収が伸びているのは取りすぎだから、取りすぎた分は国民にお返しすべきだと言っているだけです。実際の税収を見てみましょう。

 インフレ、賃上げ、低金利の三拍子が揃う現在の状況下では、政府の税収は経済成長率以上に急増しています。事実、国の税収は2020年度から5年連続で過去最高を記録し続け、60.8兆円(20年度)、67.0兆円(21年度)、71.1兆円(22年度)、72.1兆円(23年度)、73.4兆円(24年度)、そして2025年度は78.4兆円が見込まれています。

 国と地方を合わせると、この1年だけでも12兆円もの増収、国民から見れば増税になる。消費税に換算すると、4〜5%の増税と同程度になりますから、明らかに税金の取りすぎです。増収分の6割程度は国民に返すべきだ、というのが私たちの主張です。

 178万円への引き上げによる減収分の7.6兆円を差し引いても、25年度は昨年比プラス5兆円弱で過去最高税収を更新する見込みなので、心配ご無用というわけです。消費を軸とした経済の好循環が生まれれば、翌年以降も心配はいりません。

※玉木雄一郎氏の本記事全文(11000字)は、「文藝春秋」7月号及び、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています。全文では、玉木氏の根底にある問題意識、また消費税減税社会保障の世代間格差解消など、国民民主党が党として掲げるさまざまな政策について語られています。

出典元

文藝春秋

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