トランプ政権に振り回され日経平均株価も暴落するなど経済が不安定さを増すなかで、大幅な減税を主張する国民民主党代表・玉木雄一郎さん(55)。

 なぜ減税を主張するのか、そして夏の参院選に向けた戦略は……。直接話を聞きました。(取材は1月16日に行われたものです)

国民民主党の玉木雄一郎代表とたかまつななさん

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――年収103万円の壁問題が注目されていますが、実現すると国にとっては大幅な減収につながります。国民民主党は、いわゆる「小さな政府」を目指しているのでしょうか。

玉木雄一郎代表(以下、玉木) そうではないですね。市場原理や民間の活力を重視してはいますが、一方で国の役割も大きいと思っているので、必要な再分配や弱者の支援は国がしっかり財政支出するべきだという立場です。

――国民民主党は「年収103万円の壁」の引き上げ、消費税率の5%の引き下げ、ガソリン税のトリガー条項の凍結解除を掲げています。野村総研の試算によると、この主要な3つで税収が21兆円規模で減少すると言われていて、バラマキではないかという批判もありますがどう思われますか?

 

玉木 消費税の減税は短期的な経済政策として挙げているので「物価上昇率プラス2%」ぐらいの名目賃金上昇率が達成されれば、やる必要はないと思っています。コロナ禍で日本の経済が非常に悪化したときに導入したので、今回の春闘で物価上昇プラス2%の賃上げが達成できるかどうか見定めた上でこの政策を継続するかを判断します。(※2025年の春闘では全体5.42%という高い数字を記録したが、最新の2月の統計では実質賃金はマイナスが続いている)

「就職氷河期世代をもう1回作るような政策は絶対やっちゃだめ」

――103万円の壁、ガソリン税についてはどうでしょう?

玉木 その2つは、恒久的な対策としてやるべきだと思います。

 例えばコロナ禍の2020年度と2025年度の予算を比較すると、国と地方を合わせた税収は5年間で23兆円増えています。裏を返せば国民の税負担は5年間で23兆円分増えたことになります。さっき言われた3つの政策で税収が21兆円減ってもお釣りが来る。税負担を求めるペースが、今は早すぎると思うんですね。

 30年続いたデフレ、とりわけ賃金デフレから抜け出そうとするときに、過度な税負担を求めてしまうと経済が萎縮してまた賃金が上げられない社会に戻ってしまう。就職氷河期世代をもう1回作るような政策は絶対やっちゃだめだと思うんですよね。

 経済成長率と同じぐらいの税負担の伸びは認めても、それを超える税負担はやるべきじゃない。その調整のために、いくつかの減税を掲げているというところですね。