生まれて初めてこんなポジティブな方に出会いました
内田 ほんと、そうなんですよ。所さんは小さい頃からモノを大事にされていたんですか?
所 真新しい、直す必要がないものも直そうとしたから、かえってダメにしていた気もします。やらなければよかったと思ったことも。でも、たとえダメにしたとしても、これは私がダメにしたんだぞと、楽しくなるの。
内田 私、生まれて初めてこんなポジティブな方に出会いました。うれしいです。なにか回収できた気がします。
所 ちなみに、私は作曲も先行型。頼まれてもいないのに作っておく。誰かが食いついたら面白い。ポジティブな歌ばかり作っているわけではないんです。いまだにどこかで続く戦争とか、それどころか新たに始まる戦争とか、人間は愚かだと思いますよ。日々のニュースや暮らしでも、人間は何をやっているんだろうという思いが残ると、そういう歌を書きます。
とはいっても、私も普段は世の中の問題や疑問を声高に叫んでいるわけではないんです。考えているのは、どうすれば家族に褒められるか。
内田 生まれたときからそんなにポジティブなんですか?
所 こんなポジティブになったのは芸能界に入ってからですよ。それまでは大人しい子だった。大学で進級できなくて、どうしようかなと思って「こんな歌を作ったんですけど」とレコード会社を回ったの。そうしたら「面白い」と言ってくれるプロデューサーがいたの。
内田 それからは歌だけでなくバラエティ、クイズ、司会、俳優、創作とマルチにご活躍です。
所 自分を動かすのが面白いんですよね。でもそれがルーティーンになると飽きる。実は畑仕事も飽きているの、ナイショだけど。もうやりたくないと言うのはかっこ悪いから、果樹を増やして、畑をやるスペースがなくなったという段取りでいこうとしています。
内田 創作は決して飽きないんですね。創作においては、最初にポッとアタマに浮かんだものが大事だとおっしゃっているのを聞いたことがあります。
所 私は才能があるなんて少しも思っていないけれど、それでも最初に浮かんだものがいいですよ。やり直しはしない。そのほうが早く帰れるし。
内田 毎晩、おウチでご家族揃って夕飯を食べるそうですね。
