さらには、直接的に触ろうとしてくることもあった。
「一番いやだったのは、陰茎を触られることです。服の上から陰茎を握られて、手を上下に動かしながら『立派だ』『大きい』と言われました。僕の手をつかんで、自分の陰茎を触らせようとすることもありました。また電気を消して更衣室で休み時間や授業後に着替える時間に、『しゃぶれよ』と言いながら、陰茎を顔に押し付けられました」
2年生になっても、主犯格の男子生徒は同じクラスになりイジメは続いていた。4月にイジメについてのアンケート調査があり、マサハルくんは「いたずらを超えたことをする人がいる」と書いたが学校側からそれについての反応はなかった。
精神的に限界を迎えていたマサハルくんは高校のスクールカウンセラーに相談することにした。
「2年生の5月29日に、スクールカウンセラーに相談しました。中学校の時と同じカウンセラーさんで、信頼していたのでイジメについて相談しました。そこから担任に話が伝わり、放課後に図書室に呼ばれて被害の確認をされました。この時ははっきり『イジメ』という言葉を使って相談しました。でもこの時は、恥ずかしくてまだ性的なイジメの部分については話せませんでした」
「他になにかありますか?」「実はわいせつ行為もありました」
報告を受けて、学校では担任レベルで聞き取り調査が始まった。マサハルくんは眠れない日々が続いていた。性的なイジメについて学校に伝えたのは、6月の学校との話し合いだった。
「6月19日に母と一緒に学校に呼ばれて暴力や自転車や靴の件について話しました。そのときには校長や教頭、学年主任が出席していました。教頭が『この場でもし聞き取って欲しいことがあれば出してもらって。他になにかありますか?』と聞かれ、『実はわいせつ行為もありました』と伝えました。
相手が男子なのも言いにくい理由だったと思います。母は突然の性被害の告白に頭が真っ白になってしまったようです。ただ自分では被害の話をすることができず、母の質問にひとつひとつ答えるような感じでした。親子で性的なイジメの話をするのは気まずくてイヤな気分でした」
こうした中で、マサハルくんは精神科でPTSDの診断を受ける。小学校5年生で不登校になって以降は継続的に通院していたが、高校に入学後はマサハルくんが病院へ行くのは長期休暇の時だけだった。
しかし7月に「学校での他生徒による悪質なイジメがトラウマとなってストレス障害を呈しており、治療が必要」とPTSDの診断を受け、通院頻度が上がっている。
