トランプ氏はイランが核廃棄するかどうかを見極め、イランが核廃棄を拒んだ場合に軍事オプションの使用に踏み切る構えをみせていた。元陸将のB氏によれば、ケイン米統合参謀本部議長が中心になり、様々な攻撃オプションとともに、「攻撃によって得られる成果」と「攻撃によって背負うリスク」を説明していたはずだという。そのなかで、トランプ大統領は攻撃の可否も含め、攻撃する場合のオプションを選択した。

 B氏は「ただ、現在の国家安全保障会議(NSC)は人員が大幅に削減されている。会議進行役の大統領補佐官(国家安全保障担当)は現在、ルビオ国務長官が兼任していて、サポートが十分できないかもしれない」とも語っていた。トランプ1期政権で外交政策を担当した米元高官も「今のホワイトハウスはイエスマンばかり。まともに機能していない」と語る。

過激な言葉を使い続けたあげく、引っ込みがつかなくなったら…

 イランに勤務した経験がある別の日本の元外交官は「ハメネイ師ら中央政府はイラン全体をコントロールできていない。強硬派が突っ走ってテロ活動をあちこちで繰り返す危険もある」と話す。今後、世界各地でテロが起きる可能性は嫌でも高まるだろう。

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 元陸将のA氏は攻撃前、「トランプのこれまでの行動を見れば、軍事攻撃に踏み切らない可能性が高い」と語る一方、こうも心配していた。

「トランプは過激な言葉を使うことで、周囲をあおる結果を招いている。トランプはTACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもビビってやめる)という言葉に敏感にもなっている。過激な言葉を使い続けたあげく、引っ込みがつかなくなる、というのがもっとも危険なシナリオだ」

 危険なシナリオを選択した結果、今後どのような事態が起きるのか、世界はかたずを飲んで見守ることになる。

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