Q カタールがトランプ大統領へ“4億ドル”航空機を寄贈…問題点は?

 カタール王室がトランプ大統領へ約4億ドル(約580億円)のジャンボジェット機を贈呈する予定だと報じられています。これについてトランプ政権は国防総省が受け取る形であり、法的な問題はないと判断しているとのこと、トランプ大統領も「この申し出は素晴らしい。私は、非常に高価な航空機を無料で(贈与しましょう)というのに、それを要らないと愚かなことを言うような人間ではない」と公言していますが……。

 これほど高価なものを他国から受け取っても、本当に問題はないのでしょうか?(60代・女性・主婦)

カタールタミム首長(左)とトランプ米大統領。ホワイトハウスのレビット報道官は5月19日、カタール王室が申し出ていたジャンボジェット機の無償贈与を受け入れると表明した ©時事通信社

A 大々的でオープンな贈収賄事件でしょう 

 これは大々的でオープンな贈収賄事件でしょう。国防総省が受け取る形をとるとはいっても、使用するのはトランプ大統領ですから、トランプ氏へのプレゼントです。本来許されることではありませんが、ボンディ米司法長官は法的には問題ないと表明しています。彼はかつてカタールの仕事をするロビイスト(=政府に影響力を行使しようとする人)でしたから、そもそも説得力がありません。トランプ大統領は、こういう人を司法長官に起用しているのですね。

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 また、大統領の行動を咎めるべき議会は上下両院とも共和党が多数を占め、トランプ大統領に逆らうことができないのです。

 カタールとは中東アラビア半島からペルシャ湾(トランプ大統領はアラブ諸国の機嫌をとるためにアラビア湾と呼ぶと宣言しましたが)に突き出した小さな半島に位置します。面積は小さいのですが、豊富な天然ガスが産出する金持ち国家です。

©AFLO

カタールはこれまでにも……

 航空機のプレゼントといえば、これまでにも例があります。「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、次のように伝えています。

「カタールが外国に豪華旅客機を寄贈するのは今回が初めてではない。

 

 トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領は2018年、同国が購入に関心を示していることを聞いたカタールのタミム・ビン・ハマド・サーニ首長からボーイング747を寄贈されたと明らかにしている。さらにカタールの首相経験者がテレビインタビューで、かつての首長が自身のプライベート機であるボーイング747をイエメンの故アリ・アブドラ・サレハ元大統領に寄贈したと明かしたこともある。

 

 さらに2000年には、カタールの王族の一人がイラクの国営航空会社に別のボーイング747を、同国とサダム・フセイン大統領(当時)への『連帯』の印として寄贈したと、その年の米国の報道は伝えている」

 多くの人が疑惑の目を向ける中でも、トランプ大統領は堂々と航空機を受け取ってしまうのです。

カタールのパームビーチ国際空港に駐機するボーイング747。トランプ米大統領は2025年2月15日に同機を視察している ©時事通信社

 これを大統領専用機に改造するには、カタールが盗聴器を仕込んでいないかを調べたり、秘話通信ができるようにするなど、多額の費用がかかるのです。

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