本日(6月27日)の朝、「座間9人殺害事件」の白石隆浩死刑囚(34)の死刑が東京拘置所で執行された。

 白石は2017年8月から10月にかけて、神奈川県座間市に借りた自宅アパート内で、15歳から26歳の男女9人を殺害。強盗・強制性交殺人などの罪に問われ、21年に死刑が確定していた。

白石隆浩被告 ©️文藝春秋

白石の死を知り、すぐに思い浮かべたやり取り

 私は20年7月から9月にかけて、当時立川拘置所にいた白石と11回面会している。12回目の面会についても、その日程について彼と打ち合わせており、差し入れ品の依頼も受けていた。しかし、唐突にシャッターを閉ざされるかたちで面会を拒絶され、以後、対話はなくなってしまった。なぜそうなったのかということについて、知る術はない。

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 そんな白石の死を知り、すぐに思い浮かべたやり取りがある。20年9月2日の10回目の面会でのことだ。

 彼の初公判が9月30日に予定されていたため、私は裁判に臨む心境を尋ねた。その流れで「死刑判決についての不安は?」と質問したところ、顔をしかめながら次のように言ったのである。

「いろいろ本を読んで、(死刑の)執行内容を知ったんですね。まあ、痛そうなんですよ。正直、痛いのはイヤだなって感じです。ただ、裁判で争いたくないし、かといって、絞首刑痛そうだしってのがあるわけで……」

 それがついに現実となったのである。白石がその際に何を思ったのか、取材者としては知りたいが、面会拒絶の理由と同じく、知る術はない。

 とはいえ、白石が面会時に話していた言葉は、決して嘘ではなく、そのときに感じていることを、ありのまま伝えていたように思う。だから、「痛いのはイヤだな」と考えながら、刑場に連れて行かれ、心理的に抵抗があるとはいえ、抗うことはなく諦めて、刑死したのだろうと想像している。