「殺してない人もいた」と衝撃の告白
なぜそう確信したのか。それは、面会拒絶後に私は白石の裁判を傍聴しており、検察側による犯行内容についての冒頭陳述を聞く機会を得ていたからだ。その内容と、白石が面会時に私に話していた犯行内容との齟齬がないことは確認できており、自分に不利益なことであっても、彼が嘘をついていなかったことが分かったからだ。
白石の犯行自体は、当初は金銭目的であったが、殺害時の性行為に性的興奮を覚え、やがて金銭そのものよりも、性的興奮を求めて殺害を繰り返すようになるなど、とても「だらしない」ものである。
だがその反面、「几帳面」な部分もあり、それが前述の、嘘をつかないといったようなかたちで出るのだろう。
そのような白石との面会のなかで驚かされたのは、9人を殺害した彼が、「殺してない人もいた」と告白したことだ。
最初に当該の女性についての話が出たのは、8月3日の6回目の面会のときだった。白石が自分についての報道を、以下のように否定したことから始まった。
「外(世間)では、僕が被害者を“自殺”で募集したとあるけど、事実じゃないんですよね。具体的には“死にたい”や“寂しい”、“疲れた”で検索したんです。そういう精神的に弱ってる子だと口説けるって、安易な考えだったんです」
その言葉に続けて、彼は言う。
「それで2人目の子と知り合って、貯金があるとわかって、殺しちゃったんです」
私が事件についての知識として持っていたのは、貯金があるとわかって殺害したのは、1人目の被害者だということだった。だが、彼は「2人目」と口にした。そこで、「ちょっと待って。じゃあ1人目の子って?」と聞き返したのである。
「SNSで知り合ったんですけど、当時32歳のマッサージ師の子です。この女性とは8月頭から10月半ばまで付き合ってました。彼女は殺してないですね」
白石は事もなげに言った。だが、そのような話は、それまでどこにも出ていなかった。さらに面会後に調べたところ、その女性と付き合った時期に、白石は7人目(起訴状では9月30日頃殺害)か8人目(同10月18日頃殺害)までの被害者を殺めているのである。
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