こないだ自分のなかで転換点があったのでお知らせしたい。岡大海と藤岡貴裕の1対1トレードだ。概略を記すと、今年もトレード期限ぎりぎりに仰天ニュースが飛び込んできたのだ。岡大海がシーズン途中でロッテのユニホームを着ることになった。2016年日本一に貢献した俊英は、潜在能力の半分も発揮しないままチームを去っていく。しばらく固まってしまって、仕事をする気にもならず呆けていた。

 岡は必ずセンターのポジションを奪い返すと信じていた。いや、これは直近の「オールスター前、骨折した大田泰示」の代役としてライトに入る話じゃない。西川遥輝からセンターを奪回するのだ。で、西川は以前のレフトに戻ることになり、外野の定位置争いは一段とし烈さを増す。岡は夢を見せてくれる選手だった。歯車が噛み合えば今シーズンもチームの中心でバリバリやっているはずだった。

2013年ドラフト3位でファイターズに入団した岡大海 ©文藝春秋

「ひろみ推し」から送られてきたスクショ画像

 北海道北見市出身の友人が「ひろみ推し」で、可哀想にしばらく呼吸を忘れるくらいショックを受けていた。LINEグループのハムファンが皆でなぐさめるのだが、心にぽっかり穴が開いている。

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「うわうわうわわわあああああ」

「ええええええ」

「いーーーーーやーーーーーーーーー」

「ななななななぜ、おおおおお岡が」

「ろろろろろろって?」

 と書いたきり、何も言わなくなってしまったのだ。「ロッテは荻野がケガだからいきなりスタメンあると思うよ」なんて言ってもなぐさめにならないじゃないか。「掛け持ちも楽しいですよ」と言うのも酷じゃないか。「岡のプロ初ホームランは藤岡からだって。因縁なんですねぇ」と言ったってミニミニ豆知識じゃないか。僕らがいろんな風に声かけて元気づけてみている間、ずっと泣いてたみたいなんだよね。

 で、28日(土)の夕方だから2日後だ。「ひろみ推し」さんからスクショ画像が送られてきた。ファイターズのオフィシャル・オンラインショップだ。岡のユニホームが「7530円→1506円」。在庫処分だ。下げ幅がハンパない。「ひろみ推し」さんから「移籍記念セエル(涙)」とひと言だけ添えてある。これを見つけたときは胸がつぶれるような気持ちだったろう。

 ここが転換点だった。スクショ画像を見ているうち、フツーに「OKA 18」が欲しいなと思ったのだ。すぐに自分でもオンラインショップをチェックした。と、このわずかな間にビジターユニが「SOLD OUT」になっている。すぐに「ひろみ推し」さんや、他のハム応援仲間にLINEを送った。

「岡のユニホーム買わない? 岡ーズ結成。まとめて買うと送料無料なので、僕が買って、後で1500円もらいます。欲しい人はサイズを教えてください」

オフィシャル・オンラインショップで大幅に値下げされていた岡のユニホーム

 ひらめいたのだ。岡ーズ。よくわからないが、揃いも揃って岡のユニを着た一団が球場に出現するのだ。全員が「OKA 18」。周囲の人が「あれ、岡大海はロッテに移籍したはずじゃ?」と思っても気にしない。そのユニホームには一団のメンバーが好きな言葉が2つ書いてある。「FIGHTERS」と「OKA」。ダブルネームだ。どっちも好きなんだからいいじゃないか。何も裏切っていない。ファイターズファンだからファイターズのユニホームだ。ただ単に岡大海がファイターズの一員であったことを忘れない立場なのだ。人は僕たちを「岡ーズ」と呼ぶ。急いでるときはピクサーアニメ風に「カーズ」でもいい。

 そこから15分間で6人の注文を集め、まとめ買いした。ホームユニもいつ「SOLD OUT」になるかわかったもんじゃない。岡ーズ爆誕。そして爆締切。これは世界への向き合い方の問題だ。我、ファイターズと岡を愛す。世界がどのような困難に向かおうと、好きなものは好きだと言える生き方がしたい。