「岡ーズ」の考え方
で、思い出してタンスの奥から1枚のホームユニを取り出してきた。「NASHIDA 88」。2011年オフ、ちょうど梨田昌孝監督が退任したタイミングで、丸井今井札幌本店南館5階の「ファイターズスクエア」に立ち寄って、3000円のワゴンセールで購入したものだ。思えば自分はこうしてグッズの落穂拾いのようなことばっかりやっている。「3000円っていったらTシャツ価格だ!」と即買いしたが、案外着る機会がなかった。例えば札幌ドームで着用した場合、何か栗山政権に文句のある人みたいな見え方をしてしまう。こっちは単なる落穂拾いなのに「えのきどいちろう、栗山監督を否定!」なんてSNSに写真上げられても迷惑じゃないか。と、言ってる間に梨田さんが楽天の監督に就任してしまって、ますます着にくいのだった。意味を持ち過ぎている。
考えたらなぜ自分はあのとき、丸井今井南館5階で同志をつのらなかったのだろう。球場に5人くらいの集団がいて、全員「NASHIDA 88」だったらこれはインパクトがあった。「梨田ーズ」だ。どういう思想性の団体だろう。近鉄原理主義の流れを汲むのか。しかもそれが楽天戦だった場合、「敵将を愛する」よくわからない集団だ。ユニ自体はファイターズなのだから、ファイターズは応援しているのだ。その一方で「則本の引っ張り方がいい」などと梨田采配を満喫しているらしい。
オーケー。僕は岡ーズを大事にしようと思う。僕は球団創設以来のファイターズファンだけど、球団の意向にぴったり沿って生きてるわけじゃない。自分の好悪も判断も一切合切をチームに預けてるわけじゃない。岡大海を嫌いにならない生き方をしよう。敵だと思わない生き方をしよう。もちろん藤岡を邪険にすることはないけれど、岡大海はずっと応援する。がんばれ、絶対負けるな岡!
と、そこまで考えてMLBの球場の光景を思い出したのだ。ドジャースタジアムでもリグレーフィールドでも、僕が訪れたスタジアムではいつも、もうとっくに移籍していなくなった選手や、引退した選手らのユニホームを着たファンを見かけた。「いなくなったから着れない」じゃないんだ。大らかなのだ。岡ーズの考え方に実に近い。球場で見かけたら声をかけてくれ。もちろん急いでるときはピクサーアニメ風に「カーズ」で構わない。
追記、ロッテ・岡大海は7月29日、「7番センター」スタメンでマリンデビュー。衝撃の「四球四球四球死球」で出塁率10割を残した。これは持っている。
※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイトhttp://bunshun.jp/articles/-/8018でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。