年末のある朝、青天の霹靂
2023年12月下旬のある朝、9時少し前のこと。玄関のインターホンが鳴った。いつも明け方に寝て、昼前に起きる私にとっては、まだまだ早朝という時間帯。来客の心当たりは皆無で、寝ぼけまなこをこすりつつ、何事だろうかと考えながら出ると、そこにはコートを着た3人の男性がいた。
そのうちの1人が警察手帳と家宅捜索の令状を見せながら、この件について話を聞かせてもらいたい、と言う。そこには「賭博常習罪」の文字が。正直まったく心当たりがない。
街場のフリー雀荘や仲間内のセットで金銭の授受はしたことがあるし、大昔にはかなり高いレートもたしなんだことはあるが、最近は賭け麻雀自体ほとんどやってない。そもそも賭博の現場を押さえられるならともかく、家に警察が来るとはどういうことだろう。
脳内をぐるぐる回転させるが、答えは出ないまま。とりあえず3人に家の中に入ってもらうことにした。
そこで「DORA麻雀の~」という説明が始まり、ようやく事態が飲み込めた。なるほど、それならば確かにやっていたし、現場がオンラインなのだから自宅に来る理由も分かる。
しかしいざ事態が飲み込めると、他の疑問がつぎつぎとわいてくる。あれって安心安全じゃないの? てか家宅捜索までされるようなこと? だいたい自分は「絶対安全だから」と頼まれて、仕事として始めたし……。
そうなのだ。とある広告関連会社が、取引先から『DORA麻雀』の記事広告制作を依頼されて、そのテキスト部分の執筆委託が私のもとに届いたのが発端だった。
「麻雀ができてネット麻雀体験の記事を書ける人」ということで、その広告関連会社と取引があった私に、たまたま白羽の矢が立ったのである。
体験の際の麻雀の勝ち負けは自分持ちだが、稼働時の原稿料は払うし、それに伴ってそれ以外の業務委託についても便宜を図ってくれる、という明文化はされていないが長い付き合いの阿吽の呼吸もあっての受託であった。
もちろんその際に、「海外にサーバーがあるうえに別業者のウォレットもかますので、日本国内で法的に問題になる賭博ではなく、完全に安心安全である」という説明もあり、また当時(2021年初頭)はオンラインカジノでの逮捕もほとんど報道されていない時期でもあったので、私自身もさほどリスクを感じずに受けた覚えがある。
こうして自宅での取り調べが開始された。