「麻雀ができてネット麻雀体験の記事を書ける人」であったがために、仕事で「オンライン賭け麻雀サイト」を複数回プレイし、警察に狙われてしまった石渡健司さん(仮名)。取引先から「絶対安全だから」と頼まれて、仕事として始めたにもかかわらず、警察は容赦なし。いったいどんな扱いを受けたのか? 雀ゴロライター・福地誠氏の新刊『ルポ マンション麻雀 ‐バブル期から脈々と続く超高レート賭博の実態』より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/最初から読む)

写真はイメージ ©getty

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自宅で8時間におよぶ取り調べ

 朝9時前から始まった取り調べが終わったのは17時前。その間に「飲食は自由にして良いですよ」とは言われたものの、結局飲まず食わずで8時間ジッとしていたことになる。なぜ8時間もかかったのか?

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刑事(机をバン!と叩いて)「お前がやったんだろ!」

被疑者「刑事さん、誤解です…俺はやってねえ!」

※あるいは「……黙秘します」とか「弁護士を呼んでくれ」とか。

 取り調べと言えば、このようなやり取りのイメージがある方もいるだろう。そうなると、私が犯行をなかなか認めなかったので、あるいは家中を家探しされたりしたので時間がかかったと思われそうだが、決してそんなわけではない。

 基本的に『DORA麻雀』をプレーしていたこと、結果的にお金を賭けて勝ち負けを競っていたことには争う余地はない。もちろん「仕事のためにプレーしていた」ことだけは丁寧に説明・主張したが、罪状の本筋は一貫して認めていた(そして要求された証拠品はすべて差し出していた)のに、8時間もかかったのである。

 取り調べの内容は、大きく3種類だった。

(1)事前捜査で確認された対局データを実際に私が行っていたという事実確認

(2)『DORA麻雀』をプレーするようになった経緯や実際にプレーしていた環境について

(3)私自身の生い立ちや素性について

 3人のうち1人が(1)を専門に行い、これに関して実況見分のようなことも並行して行われた。私のパソコンを立ち上げて、実際にこの場所でこの機材でプレーしていたという写真を撮ったり、ログインする画面のスクショを撮ったり、牌譜再生機能を使って事前捜査の対象となっていた対局が私の牌譜に含まれているか照合したり。

 この照合作業が13ゲームぶん行われていたのだが、すべてタイムスタンプを確認して、全局分(各ゲーム3~8局あるので、計60局分程度)をデジカメで撮り、スクショをUSBにも保存する、という二重のデータ保存を行っており、異様に時間がかかっていたのだ。