10日で109人を相手に売春、避妊薬も使わせていた

 起訴状によると、瀧本は新山やその他の共犯者(別件で略式起訴済)と共謀するなどして、当時18歳未満であった女子高校生AとB、2人の年齢確認を十分に行わず、出会い系アプリで探した7人と引き合わせた。

 起訴された事実だけでも驚くべき内容であるが、立件されていない事件も含めるとAに対しては10日間で109人、Bに対しても5日間で28人と引き合わせていたことが、検察官より主張されている。

 Aは東北地方、Bを北陸地方へ連れて行くなどし、1人につき1万5000~2万円の対価を得て、ホテルや車内などで売春させた。1日のうちに県をまたがって行われた犯行もあったという。被告人両名はいずれの起訴事実も認めた。

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 瀧本は高校を中退した後、複数の職業を転々としており、事件の1年前に本件と同種の売春斡旋グループの誘いを受けて活動を開始。高校中退後にアルバイトなどをしていた新山を誘ってグループを結成し、生計を立てていた。

 スカウトは瀧本が担当し、Aは街中で、BはSNS経由で雇った。その後、新山などを運転手として、出会い系サイトで客を募り各地へ出張させた。客は新山が出会い系サイトで集めていた。瀧本の指示や新山の報告は主にLINEを使用し、押収されたスマートフォンには売り上げを管理する札束の写真などが残っていた。出張中にAが産婦人科で避妊薬を処方されていた事実も明らかになっている。

女子高校生を2人を東北や北陸へ連れ出し、売春させた ©Nobuyuki_Yoshikawa/イメージマート

Aは「やめたい」と訴えたが…

 検察官からの「出張中にAから『もうやめたい』という声は上がらなかったのか」という質問に対して、新山は「ありました」と答え、「早くあがれる日は切り上げていましたが、Aが欲しいとしていた目標金額もあるので、それを達成したら終了していました」と続けた。

 新山はこうした対応について「Aの稼ぎたいという思いがあってのこと」と主張する。「Aがかわいそうとか、いけないことをしているという考えはなかったか」という質問には「ちょっとはありました。しかし、本人も『こういうことをしたことがある』と話していましたし、しんどいところはあまり見せない子だったので…」と回答している。

 筆者の印象に過ぎないが、新山の話すトーンには悪意が感じられなかった。稼ぎたいと言っていたAに、ただ純粋に働いてもらっていた、そんな印象を受けた。複数回の公判を通して、新山は自身の浅はかを反省する姿勢を示したものの、Aに対する謝罪の言葉はなかった。

 新山のこうした姿勢を裏付けるのが、母の証言である。