――新しい目標に向かうのは楽しかったですか?

岡田 全く逆で、「いい歳こいて何してるんだろう?」とつい自問してしまって、自分がゴキブリやネズミになったような、「生きててすいません」という卑屈な気持ちになっていました。早稲田時代の同級生はもう弁護士になっている人がたくさんいるし、芸能界で共演した仲間もどんどん大きな仕事をしている。それは素直に嬉しい一方で、自分が受かるかどうかも分からない試験をやっている状況とつい比べてしまって「なんて自分はダメなんだろう」と落ち込むことがよくありました。

 

――それほど追い詰められていたんですね。

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岡田 スマホのSIMカードを抜いて、家のWi-Fiのコードを物理的に切り、誰かと連絡を取るのは最低限。終盤は、もし家の中で倒れても誰にも見つけてもらえないような環境で勉強していました。

――そこまでしないと司法試験に合格するのは難しいんですね。

岡田 いや、要領の良い人はそんなことしなくてもできると思うんですけど、僕は不器用だし、誘惑にも弱いんです。つい遊んじゃったりYouTubeを見ちゃったりして、そうすると簡単に1日終わってしまう。それが嫌になって、全部遮断するしかなかったんです。

――全部遮断すると、どんな1日になるのでしょう。

岡田 朝起きて大学の図書館で勉強、昼ごはんを食べに行くのが唯一の休憩で、図書館へ戻って勉強、晩ごはんを食べて家へ帰って勉強、終わりです。

「ここで決めるしかない、でないと生きて帰ってこれない」

――ロースクールを2年で卒業して現役で司法試験に合格していますが、決め手となったのは何でしょうか。

岡田 東大を3回受験して全部落ちた時の経験が生きたような気はします。何年も同じ試験対策を続ける辛さを知っていたので。しかも司法試験は「一生で5回までしか受けられない」という制限があるんです。だから1年ずつ合格に近づいていくんじゃなくて「ここで決めるしかない、でないと生きて帰ってこれない」と思い詰めていました。

 

――合格した時はどんな気分でしたか?

岡田 嬉しかったのと、ほっとしたのが大きかったです。ジュノンの時や仮面ライダーの時と違い今回は願ったことが初めてそのまま叶ったので。

――両親や家族の反応はどうでしたか。

岡田 親もほっとしてたと思いますね。高校で留年した時から、全然言うことを聞かないどうしようもない子という扱いになっていたので。恥ずかしいんですが援助してもらったこともありましたし、勉強してることは伝えていたので、受かったことを本当に喜んでくれました。一緒に勉強していた唯一の友人も一緒に受かって、それも嬉しかったですね。